美しき争い
解説
「格子なき牢獄」に次いでレオニード・モギーが監督した映画で、再びコリンヌ・リュシェールとアニー・デュコオが顔合せして主演する。「格子なき牢獄」の原案者の一人ジナ・カウスの原案に基き、カウス自ら「格子なき牢獄」のハンス・ウィルヘルムと協力して脚本を執筆したもの。助演はフランス劇壇の大立物ジャック・コポオ、「みどりの園」のレイモン・ルーロー、「望郷(1937)」のマルセル・ダリオ、「格子なき牢獄」のロジェ・デュシェーヌ、劇壇に名あるアルマン・ベルナール、クロード・ドーファン及びレオン・ベリエール、(いずれも「泣き笑い千法札」に出演)「格子なき牢獄」のマルグリット・ピエリー、「赤ちゃん」のポーリーヌ・カルトンその他である。装置は「格子なき牢獄」のジョルジュ・ヴァケヴィッチとコラッソン、台詞はシャルル・ゴムボー、音楽はヴァル・ベルグ、撮影はテッド・パールとバックがそれぞれ担当している。
1938年製作/94分/フランス
原題または英題:Conflit
ストーリー
妹クレールを射って腕を傷つけたカトリーヌ・ラフォン夫人は予審判事の巧みな訊問にも口を緘して語らず、涙ぐんでいるばかりである。病院にクレールを訪ねて誘導訊問しても、結果は昂奮させ怒らせるばかりである。判事はカトリーヌの夫ミシェル・ラフォンを中心としての三角恋愛で、姉が妹を嫉妬して射ったのだろうと推論して、被告カトリーヌを病床の妹に対面させる。姉妹は相擁して泣き、何事も言うな言うまいと誓い合う有様で嫉妬憎悪し合っているとは見えない。こうして何事も判らぬまま事件が迷宮に入ろうとした時、アルプスの山間の旅館の女将マルグリットが新聞を見てパリへやって来る。裁判所の廊下で彼女を見たカトリーヌは気絶してしまう。判事に訊かれてマルグリットは、山荘で男の子を産み落としたカトリーヌ・ラフォン夫人は妹の方で、被告になっている姉はクレール・ビュイソンと名乗っていた、と証言する。この事を知ったクレールは裁判所に出頭して、恋人ロベールと義兄ミシェルと父と判事を前に、過去の秘密を物語る。--三年前、故郷ペルピニヨンの町でのこと、クレールは恋人ジェラールの胤を宿したことを知り、彼に自分の父に結婚を申込んでくれと頼むがジェラールは真実クレールを愛していないので面倒臭がって堕胎しろと勧める。彼女は姉に相談するほかないとパリへ赴く。折しもミシェルは考古学オセアニア洲遠征隊に参加したので、姉妹はアルプス山間に人目を避け、姉妹が名と身分を取替え、クレールは一子ジャン・クロードを生む。その子はカトリーヌの子、即ちミシェル・ラフォンの子となり、クレールはその侭父の許に帰る。これは姉の方は子がなく、しかもミシェルは子供を欲しがっていることと、未婚の妹が私生児を持つことの不幸を考えた結果のカトリーヌの案だった。その後クレールはロベールと愛し合う仲となり婚約した。彼女は自分には惨めな過去があると言ったが、彼は過去は忘れてしまえばよいと言うのだった。所が婚約を聞知ったジェラールはクレールを脅迫し、五万フランを寄越さねば喋べると言う。クレールは姉に五万フランの調達を頼む。カトリーヌはダイヤの腕輪を抵当に高利貸から借りる約束をして来るが、三年目に初めて我が子と会ったクレールは、子供を自分のものにしたくなる。今更そんな事をしたら離婚されるとカトリーヌは妹を口説いた。半ば気を失ったクレールは、そんならミシェルに頼むと博物館へ駆つける。後を追ったカトリーヌは博物館内で遂に発砲したのである。--かくて事件は不起訴となり、クレールは子供がカトリーヌを慕うのを見て諦めねばならなかった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レオニード・モギー
- 脚本
- ジナ・カウス
- ハンス・ウイルヘルム
- 原案
- ジナ・カウス
- 台詞
- シャルル・ゴムボー
- 製作総指揮
- ミシェル・クストーフ
- 撮影
- テッド・パール
- アンドレ・バック
- 美術
- ジョルジュ・ヴァケヴィッチ
- コラッソン
- 音楽
- ヴァル・ベルグ