雪山の騎士

解説

「銀嶺に帰れ」「アルプスの血煙」のルイス・トレンカーと「商船テナシチー」「幻の小夜曲」のマリー・グローリーとが主演する映画で、トレンカー自らがシュミット・クンツと書卸した原作に基づき、「マッターホン」と同じくマリオ・ボンナルドとヌウツィオ・マラソンマが脚色しボンナルドが監督したものである。助演者は「鉄路の白薔薇」のピエール・マニエ、「トト」のジム・ジェラルド、ミシェル・フォン・ニューリンスキー、イヴェット・ベショフ、など。音楽は「春の調べ」「モンブランの王者」と同じくジュゼッペ・ベッチェが作曲した。イタラ・フィルムの製作した映画である。

1930年製作/フランス
原題または英題:Les Chevaliers de la Montagne

ストーリー

シャルリエを頭とし、これにモレル、コストの二人を加えた三人はフランスのスキーの選手である。この三人がグリンデルボーデンで開催される世界スキー大会のために練習に余念ない時、彼等はパリから来た美しい娘マリー・デュラックと知り合った。そしてシャルリエとマリーとが親しくなるにつれ、悲しみに閉ざされたのはシャルリエの従妹のアニーであった。だが同時にこれに穏やかならぬ心を感じたのはマリーと同じホテルに居て日頃彼女に云い寄っているミラックスという紳士であった。そして彼は或る日、心に何か期するところあり、シャルリエを案内として山に登った。やがて嵐が起こり、夜になってホテルへ帰って来たのはシャルリエ一人である。彼の言では途中でミラックスと別れて帰ったというのであるが、ミラックスは山の小屋には着いた報がない。彼の捜索隊が組織され夜の山を探すと、シャルリエに嫌疑の掛かる紙片が一枚落ちていただけである。そこでシャルリエはミラックス殺しの犯人として獄に投ぜられた。いよいよスキー大会の日が明日と迫った。シャルリエが出場せねばフランス側の勝利は覚束ない。獄の看守はそれを残念がり、またミラックス事件に関して不審の点あるのを思いシャルリエを一日だけ自由の身としてやる。シャルリエは山中を探ねて或る小屋に隠れていたミラックスを捕らえ彼を山下まで引き摺って来る。ミラックスは死んだと見せかけて保険金をとろうとしたのだった。自由の身となったシャルリエはマリーのオートバイによって競技場に馳せつけ、モレル、コストを励まして遂に強敵オーストリア軍を破り、第一着の栄冠を占める。そしてマリーの好意ある微笑の内にアニーと相抱いた。

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