胡椒娘
解説
ハンガリーのオペレットの花形イレーヌ・ド・ジラーイがS・I・Cプロに於いて第一回に主演した映画で、「別れの曲」「沐浴」の台詞を書いたジャック・ナタンソンが脚本ならびに台詞を執筆し、監督には古くアメリカで「手紙」「嫉妬」を作ったジャン・ド・リミュールが当たっている。助演者は「ル・ミリオン」のルネ・ルフェーヴル、舞台俳優のシャルパン、ピエール・エチュパール、「上から下まで」のクリスチアーヌ・ドゥリーヌ、ジュルメーヌ・ミシェル、等である。撮影は「リリオム」「ダンテの地獄篇」のルドルフ・マテがルイ・ネと協力して担任し、音楽は「リリオム」「不景気さよなら」と同じくフランツ・ワックスマンの担任。
1935年製作/フランス
原題または英題:Paprika
ストーリー
イラは胡椒とあだ名されたハンガリーの元気のいい娘だった。彼女は飛行機に乗ってパリにいる友達ジュリエット・シャルヴァンに会いに来るが、仮装舞踏会上で知り合い好意を感じたシャルヴァンという若者が、このジュリエットの夫マクスの弟であることを知る。そこでイラはマクスの家へ小間使いとして出掛けて行く。マクスは浮気な男でイラを口説き始め、その結果、学者である弟のポールの研究に必要な金を出すことを拒む様なことになった。するとポールを好きなイラはマクスが彼女に着物その他を買う様にと与えた金を、兄の名でそっとポールに渡すのであった。そしてイラはマクスと遊びに出るのを巧みに撒いて、ポールを誘ってキャバレーに遊びに行く。イラの歌と音楽とシャンパンなどによってポールにも人間の気持ちが漸く目醒めて来た。怒ったのはマクスである。その帰りイラは鍵をなくしたという口実でポールの家へ押しかけた。謹厳なポールがもじもじしていると、そこへマクスの召使いユルバンが来てイラを十五年前に別れた自分の娘だと勘違いして、ひどく叱りつける。それで、事件が妙にこじれ始め、イラも泣くし、ジュリエットも悲しむし、又、マクスとポールの兄弟も気まずくなるが、それでも結局は、ユルバンがイラを娘だと思ったことが誤りであるのが知れ、マクスも心を入れかえて今後は良き夫となることを妻に誓い、そしてイラとポールとは結ばれることになったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジャン・ド・リミュール
- 脚本
- ジャック・ナタンソン
- 原作
- ジャック・ナタンソン
- 台詞
- ジャック・ナタンソン
- 製作総指揮
- ジョルジュ・ランパン
- 撮影
- ルドルフ・マテ
- ルイ・ネ
- 美術
- Pierre Schild
- 音楽
- フランツ・ワックスマン
- 作詞
- Jean Nohain
- 助監督
- Germain Fried