黒騎士(1932)
解説
「会議は踊る」「最後の中隊」のコンラート・ファイトと「眠れよ我が子」のマディ・クリスチャンスが主演する映画で、「少年探偵団」のゲルハルト・ランプレヒトが監督に当ったもの。原作はレオ・レンツの小説で、「銀嶺征服」のクルト・J・ブラウンとフィリップ・ロタール・マイリングが脚色に協力し、撮影には「女人禁制」「ガソリン・ボーイ三人組」のフランツ・プラナーが当った。助演者は「踊る奥様」のヴォルフ・アルバッハ・レティーー、新進のウルスラ・グラブレイ、「会議は踊る」のオット・ワルブルク、「ジーグフリード」のベルンハルト・ゲツケ、「罪と罰(1923)」のグレゴリー・クマラという堂々たる顔ぶれである。
1932年製作/ドイツ
原題または英題:Der Schwarze Husar
ストーリー
時は千八百十二年、ナポレオンは中欧諸国を侵略しプロシアの大部分もフランスの圧制下に呻吟していた。此処、プロシアの一角、ブラウンシュワイク侯の領地でも住民は奈翁を呪いフランスを憎んでいた。骸骨の印しをつけた黒装束の騎士の一隊が出没してフランス軍を悩まして良民の味方となって活躍し出したのは此処だった。人々は之を黒騎士団と呼んだが、何人がその隊長であるかは知る人とてもなかった。フランスの代官ダルモンは、黒騎士の正体を密告し或いは捕えた者に莫大な賞金を与え、反対に黒騎士を助け或いは逮捕方の妨害をした者は厳罰に処する旨の布令を出した。常時領主ブラウンシュワイク侯はイギリスへ亡命して居たが、ダルモンは侯の姫君マリー・ルイゼを人質とし、ポトフスキー公と結婚させようと企らんでいた。或日二人の黒騎士がダルモンの部下に追われて、一軒の農家に逃込んで来た。居合せた妙齢の乙女二人は危険を忘れて二人の黒騎士を屋根裏に匿まってやった。助けられた黒騎士はハンスゲオルク騎兵大尉とアリベルト中尉だった。彼等はイギリスにあるブラウンシュワイク侯の命によってマリー・ルイゼ姫君を奪い返す為めに此地に派遣されたのであるが、彼等は図らずも知合った此の二人の田舎娘とそれぞれ想い合う仲となった。一方、ダルモンの策は奏功して、ポトフスキー公は三国一の婿君は乃公だとばかり意気揚々と乗込んで来た。その途上、忽然と現われた黒騎士の一団は忽ちポトフスキー公を替玉と代らせて了った。替玉のポトフスキー公こそはハンスゲオルクだった。彼が乗込んで姫に見参すると、マリー・ルイゼこそは彼の危機を救い憎からず想い合ったかの田舎娘だった。二人は互いに素性を知り合い意外に思いながら、さらに思慕の情の深まるのを感じるのであった。その時、全勝を誇る奈翁がモスクワ退却せり!の報が伝わった。そしてダルモン一味を撃破した黒騎士団はイギリスから帰った領主ブラウンシュワイク侯を盟主に、敗退の途にあるナポレオン指揮下のフランス軍を迎撃しようとするのだ。マリー・ルイゼ姫の愛情を胸に、ハンスゲオルクは黒騎士団は、フランスに蹂躙されたプロシア魂の復讐を敢行せんとして、勇ましく進軍するのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ゲルハルト・ランプレヒト
- 脚色
- クルト・J・ブラウン
- フィリップ・ロタール・マイリング
- 原作
- レオ・レンツ
- 製作
- ブルーノ・ドゥダイ
- 撮影
- フランツ・プラナー
- 美術
- ロベルト・ヘルルト
- ワルター・レーリッヒ
- 音楽
- エドアルド・クーニック