南の哀愁

解説

「アトランティド」「妖花アラウネ(1927)」のブリギッテ・ヘルムがポーランドの名テナー歌手ジャン・キープラと共演する映画で、「プレジャンの舟唄」「掻払いの一夜」のカルミネ・ガローネが監督に当たり、「旅愁」「彼女の選んだ道」のクルト・クーラントが南イタリアにロケーション撮影した。脚本は監督ガローネの原案に基いて「悲歌」「帰郷」のハンス・スツェケリーが執筆した。助演者は「眠れよ我が児」のガートルード・ベルリナー、「恋は盲目」のゲオルク・アレクサンダー、ワルター・ヤンセン等。

1930年製作/ドイツ
原題または英題:Die Singende Stadt

ストーリー

ジオヴァンニは南伊ナポリの漁夫であった。そして彼にはカルメラという美しい乙女の恋人があり、日頃その幸いに酔いしれては恋の唄を高らかに歌って其の日を暮らしていた。この二人の姿を見て心を暗くしていたのはミュンヘンから来たアンドレアスで、彼は果敢ない思慕をカルメラに寄せていたからである。そうしている時、恰度夢の様にウィーンの都から美しい女、クレーレがこの町に姿を現わした。そして生活に退屈していた彼女はジオヴァンニを案内者としてポンペイの廃墟やカプリの島などを案内させるのであった。この案内の日々が続いている内に、ジオヴァンニはクレーレの妖しい美しさに心を惹かれた。又、女は男の美しい声と純な心とに情けの焔を燃え立たせた。で、二人は行き着く所まで行ってしまうと、この時にはもうジオヴァンニは総てを忘れた、そして彼はカルメラの嘆きを後にして、クレーレの誘う侭に彼女と共にウィーンに立って行った。ウィーンにジオヴァンニを伴って行ったクレーレの心というのは、彼を立派な歌い手に仕上げる事であった。が、彼女は同時に、男にも信実であった。そしてルディーその他の浮かれ男が遊びに誘いに来てもそれを顧みようとはしなかった。で、クレーレの心づくしの甲斐あって、会てはジオヴァンニを田舎者扱いにした男達も漸く彼の才能を認めるに至り、ジオヴァンニの第一回独唱会が明日と迫る事になった夜、クレーレはたつての友達の勧めにより、キャフェに始めて男達に取り巻かれて遊びに出かけた。純で一本気なジオヴァンニには女の気持ちが掴めなかった。そして二人の間に越え難い溝が出来た。で、彼は都を跳び出して、またナポリに帰って来た。カルメラは未だに彼を待っていてくれた。そしてアンドレアスは己の恋を諦めた。だが、都に残ったクレーレのみは、時に、昔し別れた男の歌声を想い出しては、やるせない思いに心を淋しくさせるのであった。

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