プレジャンの舟唄
解説
「巴里の屋根の下」「掻払いの一夜」のアルベール・プレジャンが主演する映画で、「掻払いの一夜」と同じくアンリ・ドコアン原作脚色、カルミネ・ガローネ監督に成るものである。キャメラはプラネエ、ペルラン両氏、セットはセルジュ・ピメノフの担任で、歌詞はセルジュ・ヴェベル、作曲はジョルジュ・ヴァン・パリスが受け持った。助演者はジム・ジェラルド、ロリタ・ベナベンテ、ジネット・ゴーベール、シルヴェット・フィラシエ、マルト・ミュシーヌ、ピトゥート、ゼラスなどである。
1931年製作/フランス
原題または英題:Le Chant du Marin
ストーリー
貨物船マリイ・キャトリイヌ号の水夫ジョルジエとマリウスとは大の仲良しだった。二人とも女房持ちでマルセイユに小さい家庭を持っていたので、出航後しばらくは別れてきた女房のことを忘れ兼ねるのが常だった。しかし日数が経って異国の港に投錨すれば、世界各国の言葉で「愛して頂戴な」といえる女達とキッスするのが習わしだった。ペルナンプコの港ではマリウスのお馴染みのカルメンがジョルジエの男性美に惚れてマリウスを袖にしたため、マリウスはすっかり機嫌を悪くしてジョルジエと親しくしなくなった。それでグワデループに寄港したときジョルジエはパリ生まれのマックスという女を口説いて、マリウスを取り持ってくれと頼んだ。マリウスはジョルジエの女とおぼしきマックスが自分に秋波をおくり大変歓待をしてくれたので、マリウスは仇を取ったつもりで大悦びをした。このことあって二人の仲はだいぶ融和した。そして嵐の日一人の見習い水夫が波に凌ばれようとしたのをマリウスが救い、ジョルジエが木材に頭を打たれようとするのをマリウスが救ってから、二人の仲は元通りとなった。そして彼等は故国の港マルセイユに近づくにつれ、女房のことをしきりに思った。その思いを天が嘉したかマリイ・キャトリイヌ号は予定よりも十数時間早く入港した。ジョルジエもマリウスも飛び立つ思いで帰宅したが、鶴首して待っていると思いきや女房は共にいなかった。そして寝床の側にある写真入れには亭主の写真はなくて、海軍の若い水兵の写真が入れてあった。二人は悲観して酒を求めに行った。しかし嘆いても仕方はないと思い直して二人が夜明け近く二度目の帰宅をすると女房達は天使の如く安らかに眠っていた。そして写真入れにはジョルジエとマリスの写真が入れてあったのである。