赤と黒(1926)

解説

「大統領」と同じくジェンナロ・リゲリが監督にあたった映画で原作はスタンダールの著名な小説。主要出演者は「白魔」「悪魔の寵児」イワン・モジューヒン、「ハンガリア狂想曲」「白魔」のリル・ダゴファー、「東洋の秘密」のアグネス・ペーターゼン、など。(無声)

1926年製作/ドイツ
原題または英題:Red and Black Der geheime Kurier

ストーリー

「赤」と「黒」とは青年の胸に相剋する二つの魂である。「赤」とは青年の情熱、何物をも怖れぬ恋の情である。「黒」とは大望、何物をも犠牲にしようとする冷い意志である。相反する二つのものは悲劇を醸し易い。フランス片田舎の平民の粋に生まれたジュリアン・ソレルは幼にして俊才、ナポレオンに憧れる英雄児であった。彼は町の僧院長に愛され市長の秘書役を勤めていたが、大奈翁を思って夢はワーテルローをかけめぐっていた。市長の姪テレーズは美しい娘で彼とは恋仲であり市長の意地悪い根性に対して慰め合う間柄なのであった。しかし彼は狭い田舎町では満足出来ず、首都パリへ出て日頃の夢を実現させたいと冀っていた。折しも僧院長の先輩で世に時めくド・ラ・モール侯が秘書を求めていると知ってジュリアンはすすんで応じた。彼は僧院長の推薦によってパリへ行き侯の秘書となった。都には出たが、平民の子のジュリアンは白眼視され勝ちである。或る時貴族の子弟の侮辱にあい、決闘をすることになったが、その結果、彼の武勇が認められ選抜されてド・ラ・モール侯の密使となる。侯は当時一流の国士で暴王シャルルの政治を好まず、亡命中の王族ルイ・フィリップの命旨をうけて密かに挙兵を計っていた。ジュリアンの勤める密使というのはルイ・フイリップ太公への書面の伝達なのであった。この時すでに多感のジュリアンは侯の娘マティルドと恋仲になっていた。死の危険を冒してジュリアンが使命を全うして帰るとマティルドは彼との結婚について許可侯に乞うた。侯はジュリアンの性質を慮って故郷の市長の許に問合せする。市長の姪テレーズはジュリアンのこの心変わりを怨んで様々に悪く報告する。そのためにジュリアンの結婚は破談になってしまう。ジュリアンはテレーズを責めようと急拠故郷へ馬を走らせるが、テレーズの姿を見るや急に前後を忘れて発砲してしまう。ジュリアンは捕われて裁判所へひかれる。テレーズは嫉妬を恥じて侯とマティルドを呼び、邪な報告を詫びジュリアンの助命をたのんで死ぬ。裁判の結果、彼は死刑ときめられる。政府がすっかり民心から離れているのを知ったマティルドは民衆を説いてジュリアン放免の運動を起こす。ジュリアンは、まさに死刑になろうとしていたが危ない所を救い出される。だが兵士が発砲しようとするのを止めようとしたことからジュリアンは弾丸に当って重傷を負う。そして彼は最後の息を引き取る前にマティルドの手に抱擁される。

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