最後の歌

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解説

「ワルツの夢」「ニュルンベルクの親方」と同じくルトウィヒ・ベルゲル氏の監督作品で、「ワルツの夢」の原作者の一人たるハンス・ミューラー氏作の小説を映画化したもの。主演者は「ワルツの夢」「第五階級」のマディ・クリスチャンス嬢と「帰郷(1928)」「アスファルト」のグスタフ・フレーリッヒ氏とで、フリーダ・リヒャルト夫人、レナ・マレナ嬢、アントン・ポイントナー氏等が助演している。カメラはクルト・クーラント氏が担任した。(無声)

1929年製作/ドイツ
原題:The Burning Heart Das Brennende Herz

ストーリー

年若い作曲家ゲオルクは「燃ゆる心」と題する管弦楽を作曲中である。其の最後の熱情的なメロディーは管弦楽ではうまく表現出来ないので彼はそこをエーターヴェルンで演奏するつもりでいる。或日楽想を練るべく湖上にボートを浮かべていた一人の乙女に逢った。彼等の心は結び合った。彼女は良家の娘に生れたが、父親と死別してからは夜毎場末の酒場で踊らねばならぬ身の上だった。その事を彼女はゲオルグには明しかねた。乙女の悩みを知らぬ彼は乙女が美しい声の持主であるのを幸い、苦心の曲の最後のメロディーを楽器の代りに乙女に歌って貰うことにする。彼は情熱を以て最後の頁を書きあげた。彼の母はアルコール中毒者で、浅間しい身を恥じゲオルクの母だとは名乗らなかった。一人の男のために身の上を隠す女二人が場末の酒場で出会った。母親は我子の愛人の職業を知って驚ろいたが、彼女の切望を容れてゲオルクには何事も告げないと約束した。しかし或日ゲオルクは母の跡を追って酒場に来て、太腿も露わに踊っている愛人の姿を見た。ゲオルクは驚き怒って乙女を散々に虐げた上、夜毎客に売る接吻を俺にも買わせて呉れと云って彼女を辱かしめた。恥じと悲しみに物狂おしく乙女は街に飛出し自動車に轢かれて病院に運ばれた。失望したゲオルクは心重い日々を過したが、或日母親から賎しい業をしてはいても心も身体も清いのだと聞かされて、真っ黒な悔恨が彼の心を掻きむしった。そのうちに彼が作曲した管弦楽の発表会の日が来た。演奏は始まったが最後のメロディーを歌う筈の優しい乙女はいない。ゲオルクはエーターヴェルンを抱えて舞台に立ったが、傷ける心の悩みに彼の手は楽器に触れようともしない。あわや聴衆がどよめんかんとする時、後方のボックスから美しい歌声が響いたのである。

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