漂泊の王族

解説

フランスの文豪アルフォンス・ドーデ氏原作の悲劇で、我国にも『流竄王』として紹介されて居る。喜劇俳優で成功し自社を起したロドルフィ氏自身監督の下に、「ハムレット(1917)」に続いて製作されたもので、ハムレットの母君に扮したメルセデス・ブリギョーネ夫人が主役を演じ、其他「無言の争奪」に出演したローラ・ヴィスコンティ夫人やドミニク・セルラ氏も共演して居る。無声。

1919年製作/イタリア
原題または英題:Kings in Exile

ストーリー

イリリア国のクリスティアン二世と、皇后のフレデリカは政変の為国を追われて流浪の旅に上り、王子と三人で心淋しい日を送って居る。前陸軍大臣のローゼン公爵は子息ハーバート及び養女のローズ姫と共に、薄幸なる王一家に厚い忠誠を捧げ、私財を抛って奉仕怠りなかった。此所に各国宮廷等に出入りする大山師のトム・ルイズと云う男は廃王クリスティアンを擁して大儲けをしようと、王の下男を買収して種々計画を廻らして居る。勤王の志深いエリザウ・メロウは王子の教育を引受けて他日王子を立派な王に仕立て上げんと苦心して居た。クリスティアンはローズ姫を寵愛したが、直に彼女に厭いて、オペラ女優のアミイの許に通って居た。その中トム・ルイズの妻セフォラの美貌なるを見て、彼女の恋人に成ろうと友人と賭をしたが、セフォラは風に柳と受流して居るので、クリスティアンは賭に負けて大金を失う。その結果家重代の王冠にちりばめてある宝石を偽物と替えて売払い、且は王位回復を断念して、其の代償として金を得ようとするが、貞淑無比のフレデリカに止められ心機一転、一隊の遠征隊を率いて故国イタリアに向う。トム・ルイズは王が退位に同意すれば大金が得られるので極力王の復位を止めんとし、妻セフォラの容色を利用して王を途中で喰止めて大事を誤られた。之が為ローズの恋人ハーバートは無惨刑場の露と消える。其後クリスティアンは我子に位を譲ったが一日メロウはふとした過から幼王を傷けた為、かつて尊敬し清き恋を捧げて居たフレデリカの許を去り、絶望の中に死の淵に望む。右の眼を失った幼王はメロウが臨終の枕辺に望み、彼の不幸の中にも満足して死んで行くのを悲しんだ。その夜幼王は母の腕に抱かれて、小供心にも王としての悲しき運命を嘆いていたのであった。

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