白銀の翼
解説
「南海のアロマ」「ローナ・ドゥーン」等のモーリス・トゥールヌール氏がフランスに渡っての監督作品でジョーゼフ・ケッセル氏の小説を映画化したものである。主演者はクレール・ドゥ・ロレズ嬢、ジョルジュ・シャルリア氏、ジャン・ダックス氏でダニエル・マンダイユ氏、アストリュック氏、ボーヌ夫人、ピエール・ド・ガンガン氏等が助演、フランス航空輸送協会々員が応援している。よって此の映画はアメリカその他の各国では“The Last Flight なる題名のもとに公開されている。(無声)
1928年製作/フランス
原題または英題:The Last Flight L'Equipage
ストーリー
1917年、最後の防禦線を突破したドイツ軍は一挙パリを衝かんとしていた。フランス軍飛行隊に属する若き士官エルビヨンは出征する前の小閑を静かに楽しもうとパリのとある酒場の地下室に来た一人の美しい女性と知り合いになった。束の間の語らいはエルビヨンの脳裡に深い印象を残したがドゥニズという自分の名前以外に女は語らずそのまま二人は別れ、エルビヨンは帰隊した。飛行隊でのエルビヨンは優秀な技術ゆえに人々から尊敬をうけた。同じ隊に淋しい性格を持つモーリという中年士官がいた。エルビヨンはモーリと組になって一つの機をうけもつこととなった。ところがある日、休暇を得て帰るエルビヨンがモーリの手紙をその妻である人に届けた時、その女こそ過ぎた日酒場の地下室で知り合ったドゥニズだったことが判明した。彼は女の不徳をせめて憤然帰隊したが既にモーリの顔を見ることは辛かった。モーリも妻からの手紙によって大体の成行きを知って心を痛めた。その折り、飛行隊に出動命令が伝わった。悲壮な空中戦の火蓋は切られた。深く心に決するところのあったエルビヨンは機上モーリを守るために自分の体を犠牲にして敵機からの弾丸に倒れた。エルビヨンの身命を擲った行為によって無事を得たモーリは迷いの夢から醒めた妻ドゥニズと相抱いた。