紅涙秘帖

解説

「恋は甦る」と同じくグラハム・カッツ氏の監督した作品で、ノエル・カワード氏作の当り狂言を映画化したものである。主役を演ずるのは、ヴィルマ・バンキー嬢の跡を受けてロナルド・コールマン氏の相手役にと選ばれたフランス生れの女優リリー・ダミダ嬢で、「ジーグフリード」「海賊ピエトロ」出演のパウル・リヒター氏、「クリームヒルトの復讐」「化石騎士」のルドルフ・クライン・ロッゲ氏、「紅百合白百合」「蝙蝠」のハリー・リートケ氏等が相手役を務めている。(無声)

1927年製作/イギリス
原題または英題:The Queen was in the Parlonr Forbidden Love

ストーリー

クライヤの公爵姫君ナディヤは不幸な初婚の夫の死後、生活に倦怠を感じパリに出て享楽を求めた。彼女はやがてサビアンという青年と熱情的な恋を語る様になった。そして二人はスイスに旅して未来の幸福な結婚を夢見、更にパリに於て急ぎ結婚の式を挙げ様として準備中、突如故国に於てナディヤの父公爵が急死し、彼女はその跡を継ぐ事となり、クリッシュ将軍が彼女を迎えにパリに出て来た。彼女はサビアンを想いながらも説得されて故国に帰る。これを知ってサビアンも彼女の跡を追う。一方、クライヤ公爵の領地ではナディヤの相続を喜ばない人々が何かと立ち騒いでいた。ナディヤはケリ公爵と結婚して父の後継者となるべく、二人して露台に立って群衆に対顔した時、兇漢の一人は秘かにナディヤに向って発砲した。が、何者かがその男の腕を捕えたので弾丸は外れてナディヤは幸いに危難を脱れた。ナディヤはケリ公爵に二人の結婚は政略結婚であり、実は己にはパリに恋人がある事を語った。公爵はそれをよく了解した。ナディヤは己を救ってくれた男を呼び面会するとそれがサビアンであるのに驚いた。二人は互いの恋を語った。大饗宴の後、ナディヤはサビアンを彼女の寝室に招いた。彼等は再びパリにいた時と同じ様に総ての外面的な虚飾を一切かなぐり棄てた恋人同士の己等を見出した。この時、ナディヤの相続を喜ばない人々は邸内に集り、暴挙に出でんとした。ナディヤは周囲の人々の諫止をも聴き入れずに身を挺して人々の面前に立ち現れ、自らの処決を求めた。この有様に、今迄彼女に対して反感を抱いていた人々も却ってその態度に打たれて立去った。ナディヤはケリ公爵に許しを乞うたが、公爵にはその意味が解しかねた。その時、ナディヤの寝室からピストルの音が聞えた。それはナディヤを真に愛するサビアンが、ナディヤを愛するが為の自らの犠牲であった。始めてナディヤの許しを乞う意味を解し得た公爵は彼女の手に接吻してナディヤを許した。

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