ディナ・ザズウ
解説
「ポストマスタア」と同じくU・A・ジェリヤブウジスキー氏が監督したもので、A・トイゼ嬢とK・ミカベリゼ氏とが主役をつとめ、その他、G・M・ダヴィダシヴィルリ氏、ヴェリコ・アンジャパリッゼ嬢、A・ツィトリゼ氏などが重要な役を受け持っている。無声。
1926年製作/ソ連
原題または英題:Dina Dzadzu
ストーリー
ズヴァニェチャの領主タタルハン・ダデシケリアニはある日野辺にマハリヤートと許婚とを見とめ、許婚を殺してマハリヤートを己が宮殿に奪い来り、彼女を恥ずかしめた。マハリヤートはその後宮殿を逃れて山奥に隠れ住んだ。そして領主の子を生んだ。彼女はそれをディナ・ザズウと名づけ、他日領主に復讐せしめるべく育てていた。話はそれから十数年経つ。アブハジャに住む武具造りのゾルンは、納税の事から侮辱を受け、且つ己れの身代りに妹を殺され、あまつさへ領主の追手を受けて、その地を逃れてスヴァニェチャを目指して走る。その国境の雪山で彼は氷の割目に落ちて気を失う。それを助けたのが丁度通り合せたスヴァニェチャの人々である。この人々は領主タタルハン・ダデシケリアニの暴虐に反抗してこの山地に自由国を作っているのであった。ゾルンはその頭目の世話を受けていたが、ある日山に猟して獣の毛皮を纏った不思議な若い女性と出会う。これがディナ・ザズウであった。その頃、領主タタルハン公は又もや自由国の征服を企て女婿ガルドゥブハンを形勢観望に使わした。マハリヤートは彼を見て領主は己れの生みの娘の手に殺されるであろうと呪詛を浴せかける。これを聞いた領主は娘ジャムウルハンを地下の穴倉に押篭める。ガルドゥブハンは謀を用いて自由国を乗取ろうとしたが、裏をかかれてゾルン等の為に野辺の酒宴の席で鏖殺される。これを聞いたタタルハン公は自ら出馬してマハリヤートに傷を負わせディナ・ザズウを己が宮殿に奪い返る。マハリヤートは最期の力を絞って急を同志の人々に告げた。同志の人々はここに大挙してタタルハンの宮殿に攻め寄せる。が、その時、我が娘とは知らずして挑みかかったタタルハンは、却ってディナ・ザズウの怨みの刄に倒れる。マハリヤートの呪は当った。かくてタタルハンは生みの娘に殺された。そして暴政は終りを告げた。凱歌を挙ぐる自由国の人々。そしてゾルンとディナ・ザズウと。
スタッフ・キャスト
- 監督
- U・A・ジェリヤブウジスキー
- 撮影
- P. S. Paritsev
- 美術
- I. A. Sharleman