毒蛇(1920・イタリア)

解説

己れが生命であるべき愛情をまで否定し去ろうとする恐るべき女の執念を、フランチェスカ・ベルティーニが肉的煩悶の多い女主人公に扮して演じる。無声、染色。

1920年製作/イタリア
原題または英題:Serpent

ストーリー

或る銀行家の隠し児ナイアは幼時から田舎に育てられて「小さな毒蛇」とあだ名されて居た。其れ程彼女は自然な人となりを持って乙女となった。彼女の父親がある仕事に失敗して自殺した時、彼女は罪なき或る音楽家を恨み復讐をさえ決心した。しかし恨む当の仇に接近するに従って、彼女の心は次第に其の男に惹かれて行く。……其処に憎しみと愛の激しい争闘が起こって彼女の胸を痛めたが、復讐に燃ゆる彼女の心は遂に男を獄に投じた。しかし世上の評判等に追われて都離れた別荘に隠遁生活を送る中、彼女は真に人として生くべき道に対する眼が開かれて居た。刑期満ちた男と再び相会った時、男の手に奏でらるる妙なる音楽の調べに彼女の偽りの感情は全く消え失せて魅せられたる毒蛇は小兎の如く愛情に誠実であった。

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