老人と子供のレビュー・感想・評価
全2件を表示
笑顔が素敵。 ファンキーで♪子供が好きで、笑い話が得意。殺生を避けるベジタリアンの優しいおじいちゃんは、 ユダヤ人を皆殺しにしたかったのだ
オランダの、
書棚の裏の隠れ家に丸2年。
音を立てぬようにバケツを便器に、
8人で息を潜めたのはアンネ・フランク。
「ガス室か延命か」の、あの絶体絶命の運命の分かれ道で、大人しく息を潜められなかったユダヤ人の子供たち、ユダヤ人の赤ん坊たち、そして
ユダヤ人のADHD=多動性注意欠陥障害の子たちは、
=つまり「たくさんのクロードたち」は、あの時代にはどうなっていたのだろう。
子どもの声を隠し通せずに、両親と一家もろとも、その親戚までをも芋づる式にガス室に送ってしまったユダヤ人の騒がしい子供たちは、おそらく多数存在していたはずだ。
沖縄戦で、銃と火炎放射器をかまえて目の前を歩くアメリカ軍兵士に、悟られないように、声を出させないために、赤子を自分のわきに、その口と鼻を押し当てて窒息させてしまった母親の話を聞いた事がある。
もちろん自分から我が子に手にかけたり、赤子を抱いて鉄の暴風と言われた壕の外に出た親たちの姿も
生き残りの人たちの見てしまった光景だ。
みんなに迷惑をかけないために自死を選ぶわけだ。
・・・・・・・・・・・・・
1967年フランス
クロード・ベリ監督の自伝映画。
クロードは自分の幼いときの「疎開の実体験」を、彼の初めての脚本監督作として残したのだという。
落ち着きのなかった少年クロードが、
(傍線―) 家族全体の身の安全のために
田舎に預けられて、
「ユダヤ人でない振りをする事」を習得するのには、そうは時間がかからなかった。
その様子が、胸が痛い。
「いいかい?自分で体を洗うんだよ」とお母さんが繰り返しクロードに諭したのは、「預かって下さる先方さんに御迷惑にならぬよう自分の事くらいはちゃんと自分でするのだよ」
と言っているのでは「ない」。
割礼を見られたら強制収容所に送られてお前はガス室で殺されるのだと、
母は 出ない声で叫んでいるのだ。
本作品、
僕はたまたまなんの前情報もなしに何気なく見始めたのだが、先行きが読めずに不安でいっぱいになってくる冒頭からの展開だった。
野原や農場での泥だらけになりながらの遊び。
川やブランコ。
台所やベッドでのおじいちゃんのお喋り・・
おじいちゃんが愉快で楽しければ楽しいほど暗雲が怖い。急転直下に怯えながら画面を見つめる。
あの戦争で、ドイツは150万人の子供を殺したのだが、ドイツと戦うフランス政府も多くのユダヤ人をドイツに引き渡している。
優しくて面白いおじいちゃんが、いつ豹変するのかと震えて見守った。
バリカンでの丸刈りはアウシュヴィッツの暗示だ。
「世話をしてやるとウサギが可愛くって、もう食べられなくなるだろう、ウフフ?」とおじいちゃんはクロードを可愛がる。
目の中に入れても痛くないほどにこの子を可愛がる。
愛犬にもクロードにも、膝に乗せてスープを食べさせてくれる。
それが痛烈な皮肉なのだ。
ユダヤ人だと知ってしまったらどうなっていたのだろう。
“仔ウサギ”は殺されてしまったのだろうか・・
寸出のところでクロードはパリに戻ったのだけれど・・
・・・・・・・・・・・・・
メモ
検索されたい
[ ホロコースト時代の子供たち ]
ホロコースト百科事典より ―
劇中で、大きなポスターの「警告」にも有ったが、'
パルチザンがドイツ人を暗殺するごとに“見せしめ”でユダヤの子供が銃殺されていたこともわかる。
そんな時代を生きていたクロード・ベリの思い出。
ペタン元帥と老犬とユダヤ少年
1967年のフランス映画
ドイツ占領下のフランスで暮らす
ユダヤ少年の物語で
監督の半自伝映画らしかったけど
主役はやっぱり老人役のミシェル・シモンか
パリでの生活に不安を抱える少年の両親は
知人の田舎の両親(老夫婦)に彼を預けることにする
だが老人は第一次世界大戦の国民的英雄で
今はヴィシーフランスのトップになったペタン元帥に
忠誠を誓う退役軍人だった…という話
牧歌的な日々を送り
パリから来た都会っ子としてからかわれたりするが
老人のキャラのせいで誰も彼をユダヤ人とは思わない
だけど少年はそれについて考え続ける
ここではバリカンの目的も違う
ノルマンディー上陸作戦の日に
老人の相棒のような老犬が死に
ペタン元帥も逃亡
老人はひとつの世界の終わりを痛感する
当事者にしか語れないエピソードが数々あり
面白かったです
ラストの老人だけど少年みたいな彼の
寂しげな表情に惜別の想いが伝わってきた
(ふたりは親友だ!)
そして不幸な時代にも幸せな巡りあわせは
あるのだな、と思ったりした
子役もすごくいい
全2件を表示