「既存の社会の価値観に収まらない若者の愛と友情」突然炎のごとく(1961) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
既存の社会の価値観に収まらない若者の愛と友情
総合:80点
ストーリー: 85
キャスト: 75
演出: 85
ビジュアル: 60
音楽: 65
現代の社会の常識から見れば奇妙にも見える友情と愛情を中心に描きながら、三人の男女の三角関係を綴っていく。
彼女は既存の価値観などに支配されない。一人の男を愛し結婚し子供を生み育てるのが女の幸せなどと誰が決めたの?とばかりに、自分の思うがままに人を愛し、思うがままに行動する。そんな彼女を愛した男たちは、とても自分の理想とする男女関係などを構築できないことを知りつつも、それでも彼女を見捨てることなど簡単に出来はしないのだ。
そのような価値観を映画の中心に置くことで、この映画が新たな風を社会にもたらしているように思える。実際は1960年代に作られた第一次世界大戦前後の時代設定の映画なので、新しいわけではない。映像も白黒だし音楽も時代を感じる。だが社会から解放された自己の自由の確立を物語っているようにも感じる。それを途中途中で小説のように述べたり手紙の交換をしていくことで、ただの好き勝手に生きる社会の逸脱者で無教養な若者たちの話ではない、心理描写も含めたちょっと格調高い作品になっている。そしてそんな彼らだからこそこのような結末になるのだろうとも思う。
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