山岳パトロール出動す

劇場公開日:

解説

ヴェルナー・ヴォレンベルガーの脚本により「女(1959)」のヴィクトル・ヴィカスが監督した氷河救助隊の活躍を描く山岳映画。撮影はエミール・ベルナ、音楽はハンス・メッケル。出演は新進女優アンネマリー・デューリンガー、ロベルト・フライタークのほか、氷河着陸一万回の経験をもつアルプス飛行士ヘルマン・ガイガーが自身出演している。製作はオスカー・デュビー。

1960年製作/西ドイツ
原題または英題:SOS Gletscherpilot
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1962年8月22日

ストーリー

夏も終りに近いある日、スイス山岳救助隊の飛行士ヘルマン・ガイガー(自身)は、機上からアルプスの一高峰にかかった氷河の端が崩れ落ちるのを目撃した。残った部分にも大亀裂があり、崩壊も時間の問題と思われた。翌日、その危険を知らずに、別々のルートからこの山を目指した数人の男女があった。彼らは、山を愛する点では同じだったが、山に登る動機において全く異っていた。アルフレッド・グルーバー博士はガイドのペレンと頂上を極めたとき、心の圧迫から解放されたように感ずるのだった。彼は年下の妻のため自分も若いのだという虚勢から、この高峰に挑んだのである。別のルートの一隊には美しく気立ての優しい娘モニカ(アンネマリー・デューリンガー)がいた。彼女は一度大病をしてから精神的にも滅入っていたので、健康に自信をつける意味で登頂を志したのだ。いつも軽口をたたく陽気なギスラー技師、(ロベルト・フライターク)とパックルが彼女に同行した。最も険しい斜面から登ったのは二人の典型的な現代の若者、チャーリーとロビーである。彼らは内心の不安を粗暴な振舞でカムフラージュしようとしていた。こうして山頂に集った登山者たちにとってこの山は禍いの山となった。一緒に下山する途中でグルーバーが足を滑らせたため、彼らは一団となって転落した。ペレンとパックルは即死し、ロビーは意識を失ったまま氷河の窪みに倒れる。グルーバー、ギスラー、モニカ、チャーリーの四人は、さらに深い谷の上に突き出している氷河の先端に投げだされる。急を聞いたガイドたちは救助隊を組織し山を登る。まず、ロビーとチャーリーが救われた。チャーリーは他の三人の救出を頼むが、すでに日は暮れ、天候も悪化してきたためこれ以上の救助活動は不可能だった。そして二日二晩が過ぎた。死と直面したこの期間に、氷河上の三人の心境に色々の変化があった。ギスラーは今まで陽気に振舞うことによってかくそうと努めていた内心の孤独感を強く意識した。そして彼はモニカと共に新しい意義ある生活を始めようと決意していた。モニカは人生に対する病的な不安を克服するために今度の急病が役立ったのだ。一方、グルーバーは、人間は年とともに老成しなければならぬということを悟った。そして今や精神の安定を得て、死をも怖れない心境になっていた。ついにガイガーが救助に飛んできた。彼は氷河の上に決死的着陸を試みて成功する。だが、ガイガーの飛行機には二人しか乗れなかった。グルーバーは自発的に後に残ると申し出る。モニカはまだ危険な容態だし、愛しあっている二人を離さずにおいてやろうと考えたからだ。ガイガーは彼を連れに戻って来ることを約し、モニカとギスラーを乗せて飛び立った。その時、轟音と共に氷河は崩れ落ちて、グルーバーは谷底ふかく消えていった。ペレン、パックル、グルーバーの永遠の憩いの地となったこの山の墓地に、一人の孤独な女と、一組の若い男女が無言で佇んでいた。その時、空には救助活動におもむくガイガーの飛行機が飛んでいた。

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