情事(1962)

劇場公開日:

解説

「さすらい(1957)」の監督ミケランジェロ・アントニオーニが自らシナリオを書き、監督して愛のうつりかわりを描いた作品。脚本は同監督の他にトニーノ・グエッラ、エリオ・バルトリーニが共同で担当している。撮影はアルド・スカヴァルダ。音楽は「太陽の誘惑」のジョヴァンニ・フスコ。出演者は「三月生れ」のガブリエレ・フェルゼッティ、新人モニカ・ヴィッティ、「狂った情事」のレア・マッサリの他、ドミニク・ブランシャール、ジェームズ・アダムス、レンツォ・リッチなど。

1960年製作/イタリア
原題または英題:L' Avventura
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1962年1月30日

ストーリー

ローマの上流階級のひとり娘アンナ(レア・マッサリ)には若い建築家のサンドロ(ガブリエレ・フェルゼッティ)という恋人がある。そのサンドロは都会の頽癈と倦怠にむしばまれて、すでに芸術的な意欲を失い、アンナへの愛すらも不安定なものになっていた。アンナの不安と焦燥感は実はそこに原因があった。ある夏の終り、二人は上流階級の友人たちに招かれて、数日間、シチリア島の近くにあるエオリエ群島へヨット旅行に出かけた。アンナはその旅行に親友のクラウディァ(モニカ・ヴィッティ)をさそった。三人は何となく気まずい零囲気の中で、ヨット旅行を続けたが、とある無人島に陸したとき、突然アンナの姿が、かき消すようになくなったのである。ヨットに乗り合わせていた友人たちとともに、サンドロとクラウディアは必死にアンナを探したが、彼女の姿は沓として消えたままだった。あくる日も荒涼たる島の中を一同は手わけして探しまわったが、やはりアンナの姿はどこにも見つからなかった。事故で溺死したのだとしても、死体も見当らない。捜査は打ちきられた。しかし、サンドロとクラウディアは生きているかもしれないアンナを求めて捜索の旅に出た。アンナの失跡によって結びつけられたこの二人は、何者かにおびえるような不安の中で、だんだんとはなれ難くなって行った。情事の旅を続けながらアンナのイメージは二人の念頭から薄らいで行った。いうまでもなく、他の友人たちの間ではもうアンナの事はすっかり忘れられていた。あるパーティの夜。友人たちは当然のようにこの新しいカップルをむかえた。その夜、酔ったサンドロは見知らぬ女を抱いた。不安の一夜を明かしたクラウディアはそんなサンドロの姿を発見して絶望した。が、サンドロの方もその気持は同じだったにちがいない。サンドロは逃れ出て戸外のベンチで一人男泣きに泣いた。その肩をうしろから、おいかけてきてそっと抱いたのはクラウディアであった。

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映画レビュー

3.0村上春樹小説の元ネタっぽい

2022年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Souichi

3.0想像は膨らむ映画。クラウディアがステキ。

2022年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

想像は膨らむ映画。クラウディアがステキ。

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Mr. Planty

4.0男と女のすれ違う意識と愛の脆さを表現したアントニオーニ監督の美しく巧みな映像の世界

2022年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

デ・シーカ、ロッセリーニ、ヴィスコンティの三大巨匠に続くイタリアの実力監督は、フェデリコ・フェリーニとミケランジェロ・アントニオーニであろう。そしてこのアントニオーニ監督の代表作がこの「情事」である。但しアントニオーニについては、「太陽はひとりぼっち」の印象から、既成の映画概念では理解できない特異な演出をする一寸変わった監督のイメージが強く、どこまで楽しめるか身構えての見学になる。そして、その予想は凡そ的中して、ストーリーの完結しないドラマの不思議な世界に身を委ねることになった。
だがそれとは別に、この映画の魅力としてカメラワークの素晴らしさがあった。話の展開が面白い訳ではない時間の流れを感じさせない、考え尽くされた画面構成の美しさがある。外交官の娘アンナのレア・マッサリ、その友人クラウディアのモニカ・ヴィッティ、そしてアンナの恋人サンドロのガブリエル・フェルゼッティの三人三様の物憂げな表情がそこに自然に溶け込んでいて、物語を追う以上に登場人物を見詰める面白さを感じた。
ヨットのバカンスの途中、ある小島でアンナの行方不明に気付いてから探し始めるクラウディアとサンドロを捉えたショットが実に巧くまた美しい。背景の自然を生かしながら二人の動きを的確に描写していく。友人を裏切るのではないかと怯えながらサンドロの要求に応えてしまうクラウディアの良心。そして心を許した後のサンドロの裏切りに変換する男と女の曖昧で脆い関係。よく見ると皮肉な話ではある。結局アンナは行方が分からずに映画は終わってしまう。

十数年前の傑作と謂われる作品だが、他の名作と違ってその良さを全面的に認めるには、まだ映画経験が足りない。しかし、カメラワークの美しく見事なことと、そのショットの巧みなモンタージュには感心してしまった。モニカ・ヴィッティとレア・マッサリの演技もいい。

  1978年 6月19日  フィルムセンター

アントニオーニ監督作は、中学生の時に観た「太陽はひとりぼっち」が最初で、その後「欲望」「砂丘」「愛のめぐりあい」しか観ていない。全てを掴み切れない難物監督のひとり。1960年代の前半の時代を代表する監督のひとりだが、その時代の雰囲気を知らない世代には理解しきれないものがあるように感じる。興味深いことに、キネマ旬報のベストテンの読者票では、ベルイマンの「野いちご」フォードの「怒りの葡萄」デ・シーカの「ウンベルト・D」を押しのけてベストワンに選出されている。アラン・ドロン主演の「太陽はひとりぼっち」の公開が12月だった為もあるかも知れないが、兎に角この年にはこの二作と「夜」が同時に日本公開されて、当時の映画通に受け入れられたことは間違いない。
映画にはその時代や風俗を反映する作品と、時代を越えて普遍性をもつ作品、そして後世に漸く認められる時代を先取りした作品とに分けられるが、このアントニオーニ監督の作品は1960年代を知る意味で価値があると思われる。“愛の不毛”と呼ばれる男と女の虚無的な関係は、戦前戦中世代がある程度生活の余裕が出来て、割り切れない男女関係に関心を持てる精神的な成長過程にあったのではないだろうか。

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Gustav

3.0言葉は印象的だ

2018年9月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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みきねこ

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