火の森

劇場公開日:

解説

ミステリアスな森の中に迷い込んだ一人の青年と美しい三人の女との恋の物語。製作は、アレッサンドロ・ヤコボニ、監督・脚本は「野獣暁に死す」のアントニオ・チェルヴィ、撮影は、セルジオ・ドフィツィ、音楽は、アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノとレイモンド・ラヴロックが各々担当。主題歌はラブロックが歌っている。出演は「ガラスの部屋」のレイモンド・ラヴロック、ハイデー・ポリトフ、シルヴィア・モンティ、エブリン・スチュアート、グイド・アルベルティなど。

1970年製作/イタリア
原題または英題:Le Regine
配給:東和
劇場公開日:1971年6月26日

ストーリー

皮のジャケットに身をつつみ、自由の世界を求めて、オートバイを走らせていたデビッド(R・ラブロック)は一台のパンクして止っている高級車を見つけた。親切にタイヤの交換を手伝ったデビッドに、運転していた中年紳士(G・アルベルティ)は逆にことごとく意地悪くあたり、冷笑した。オートバイに釘をさしこまれて怒ったデビッドは男の車を追った。だが、追いついて声をかけた瞬間、ハンドルを切り誤り、男は死んだ。道ばたの花をたむけ、再びデビッドはオートバイを走らせた。パトカーを見て細い道へ折れて進むと、とある館があった。館に隣接するボート小屋でめざめたデビッドの前に、キュートな女リブ(H・ポリトフ)が立っていた。立ち去れとの命令に、オートバイにまたがるとリブの姉、ビビアナ(E・スチュアート)とサマンサ(S・モンティ)があらわれ、彼女たちはデビッドを朝食にさそった。楽しい時を過しながらも、立ち去ろうとする決心は、娘たちの妖しい魅力と、現実離れした不思議な態度によってくずされた。突然、サマンサがオートバイを乗り回し、デビッドはそれを追いかけた。そして湖のほとりで彼女を抱いた。夜、一度立ち去ったが、再びもどったデビッドは台所が空っぽで、娘たちもいないのに驚き、外へとび出した。森の中に燃えさかる火を見て近づくと、三人の娘がたき火をしていて、これは年頃の娘の贖罪の儀式だといった。そのあと家へ戻ったデビッドは台所がもとのまま飾られているのを見て、ますます混乱していった。そんなデビッドをビビアナは自分の部屋にさそい甘美な時な過ごした。目ざめるとビビアナの姿はなく、娘たちは入口で男と話していた。その男に見覚えのあるデビッドは、男のあとをつけた。と突然嵐になり、雷が鳴り、激しい雨が地をたたいた。稲妻にうたれてデビッドは気を失った。リブの声、全裸のサマンサ、死んだ中年の男の声。サマンサの顔……悪夢からめざめると、まわりに三人の娘の心配そうな顔があった。土曜日、招かれた古城でのパーティーに四人は出かけた。多勢の人がさんざめく玄関をぬけて一番奥の部屋に入っていった四人を六人の男と四人の女が待ちうけていた。矢つぎばやに浴びせられる質問に、耐えられなくなったデビッドは部屋を出た。行きあたった扉を開くと一人の僧侶がいて、「人間が一度は通らねばならない十字路に、今、君は立っている」と不思議なことを言った。僧侶の部屋を出るとリブが立っていた。その魅力に引きこまれるようにデビッドはリブと愛の一夜をすごした。三人の美しい娘に愛され、デビッドは幸せだった。もう自由な世界も、理想社会もいらなかった。館に帰ったデビッドは娘たちに、自分が完全に彼女たちの虜となったと告白した。とその瞬間、彼女たちの顔に奇妙な微笑が浮んだ。そして彼女たちは突如、変身した……。翌朝デビッドを埋葬する、彼女たちの姿が見られた。

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