狼の館

解説

ビクトリア女王時代のロンドンを舞台に、夜の女たちの対策をめぐって展開される大騒動。製作はフィリップ・ブリーンとクルト・アンガー、監督はTV出身のフィリップ・サヴィール。脚本はビクトリア時代の研究家として知られる「思い出よ今晩は!」のデニス・ノーデン、撮影は「茂みの中の欲望」のアレックス・トムソン、音楽は「北西戦線」のミッシャ・スポリアンスキー、美術は「吸血鬼」のフレッド・カーター、編集はピーター・タナーがそれぞれ担当。出演は二役を演じる、「アルフレッド大王」のデイヴィッド・ヘミングス、「血と怒りの河」のジョアナ・ペテット、「キング・オブ・アフリカ」のジョージ・サンダース、「渚のデイト」のダニー・ロバン、ほかにウォーレン・ミッツェル、ジョン・バード、ウォルフ・モーリスなど。イーストマンカラー、メトロスコープ。

1969年製作/イタリア
原題または英題:The Best House in London

ストーリー

ビクトリア女王時代のロンドン。うら若い身で社会改革に熱心なジョセフィン(J・ペテット)は、夜の女の更生に一所懸命であった。世の指導者たちも、フランス式の高級女郎屋を開き、女たちをそこに集める方策を考えていた。そしてこの首唱者が、ジョセフィンの伯父のフランシス卿(G・サンダース)であった。彼はまず内務大臣(J・バード)を仲間に引き入れ、ロンドンの彼の家を、その遊びの家にすることにした。姪のジョセフィンの方にも、ある日偶然なことから、宣伝コンサルタントのベンジャミン(D・ヘミングス)という協力者ができた。プレイボーイ・クラブの設立を引き受けたフランシス卿は、これを情婦のバベット(D・ロバン)にまかせ、所用でインドの農園へ出かけた。そこでバベットはフランシスの息子で愛人のウォルター(D・ヘミングス)に協力を依頼。ウォルターは昔の女を手づるに、ジョセフィンの力で更生の道を歩もうとしていた女たちを、ごっそり引き抜いてしまった。一方、ジョセフィンは貧しい少女を救いパンドルフォ伯(W・ミッチェル)の作業所で働けるようにしたが、彼女は工員たちを誘惑しバンドルフォを手こずらせた。その頃、フランシス卿がインドで原住民に殺され、ジョセフィンが財産を相続した。そこでウォルターは、女郎屋とは知らずバベットの依頼で宣伝をひきうけたベンジャミンを、婦女暴行者に仕立てあげ、警官にひきわたしてしまった。さらに彼は、ジョセフィンをわがものにして、財産を自分の意のままにしようとしたが、あと一歩というところで中国大使館の貿易担当官フェン(W・モーリス)のグループに、彼女をさらわれてしまった。彼等はインドの農園をおさえ、アヘン貿易をはばむため、当然息子のウォルターが相続したと思いこんだ、農園の権利書がめあてだった。しかし、彼女をおとりにつかっても、財産を相続していないウォルターから返事のくるはずもなかった。そして、すでに釈放されていたベンジャミンが、ジョセフィンのこの危難を聞いて、中国大使館にかけつけたが、彼もまたつかまり、彼女とともに、にえたぎる油なべの上に、さかさ吊りにされてしまった。もはやこれまでと思った時、二人は互いの愛を告白した。ところが、それと同時に、フェンたちの誤解もとけ、二人は自由の身となり、幸福な将来を夢みるのだった。

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