死海のほとり

解説

孤高のうちに生涯を閉じた異色の天才画家チョントヴァーリと、役者Zの苦悩する精神の彷徨を描く。監督はゾルターン・フサーリクで、この作品は彼の遺作となった。脚本はイシュトヴァーン・チャーサルとペーター・ドバイ、撮影はペーテル・ヤンクラ、音楽はミクローシュ・コチャールが各々担当。出演はイサク・フィンツィ、イシュトヴァーン・ホッル、マルギット・ダイカ、アンドレア・ドラホタ、アーグネシュ・バーンファルヴィなど。

1979年製作/ハンガリー
原題または英題:Csontvary

ストーリー

チョントヴァーリ(イサク・フィンツィ)は、ハンガリー後期印象派の先駆者であり、19世紀ロマン派の影を持ちながらシュルレアリズムの到来を予告した天才画家だ。ある日、一薬剤師であった彼は、「お前はラファエルをしのぐ最高の外光派画家になるだろう」という内なる啓示を聞き、それ以来、美を求めて放浪の旅に出た。しかし、生前はその才能を世に認められることなく、孤独のうちに生涯を閉じた。彼の名が美術界に衝撃を与えるのは、ずっと後である。そのチョントヴァーリを、今、演じようとする俳優がいた。Z(イサク・フィンツィ)である。彼はチョントヴァーリが大都会に絶望して流れて行った古代ローマの廃墟、エジプトの砂漠、エルサレムの古い街角、レバノンのバァルベックなどの地で、チョントヴァーリになりきろうとする。しかし、この画家を演じている自分とはいったい何者なのか、彼は悩み苦しむ。家に帰って、妻子や知人と接するとすぐ逃げ出したくなる。彼自身自分の存在が果たしてどちらのものなのかわからなくなっている。やがて、Zは妻の勤める精神病サナトリウムに来て安らぎを覚えるようになる。中庭では、美しいヴァイオリンの音が響きわたるのだった。

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スタッフ・キャスト

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