極北のナヌークのレビュー・感想・評価
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ドキュフィクション映画
ドキュメンタリー映画の先駆的作品と言われる1922年のロバート・フラハティ作品。
『極北の怪異』または『極北のナヌーク』という邦題で、書籍「死ぬまでに観たい映画1001本」には前者タイトル、今回観たDVDタイトルは後者であり78分バージョン。
本作を作り上げたロバート・ジョセフ・フラハティという人は、カナダ北部における極寒の地で生活するイヌイット族を映像で捉えて、生きるために苛酷な自然と闘う姿をフィルムに残した。
このフラハティは、探検家・人類学者だったそうだが、本作を観て「100年前は、こういう生活をしていた家族もいたのか…」とか「家族が生きるためにセイウチやアザラシなどを捕獲するが、解体シーンはモノクロ映像でもインパクトあり。動物愛護協会?とかが嫌悪するのではないか…」などと思うが、「実際に、以前はこうした生活だったのだろうから仕方ない」と思ったりした。
ただ、驚いたのは、このDVD付属の解説書を読んで、「この映画が撮影された当時にはフィクション映画とドキュメンタリー映画を明確に線引きする習慣が無かったため、この映画のナヌークという人物は本人が演じており妻を演じたのも本当の妻でない。また、演出的な意図とシナリオに沿って虚構の自分を演じるフィクション要素を多分に含んだドキュメンタリーである」という記載とともに【ドキュフィクション】として解説されている。
……とは言うものの、実際に本作で描かれた厳しい自然は[本物]であり、不思議な感覚が残る映画であった。
ニーラ、微笑みのひと
単館上映の神保町まで行けないなぁ・・・
と思っていたら1000円でDVDを発見♪
98年前の記録映画で、しかもBGMは有れど字幕つきの無声映画です。
昔、本田勝一の「極限の民族」を読んで以来"イヌイット“には興味があったので見られて良かった。
すごくおもしろかった。
DIY能力、イコール生存能力なんだよねー。
ナヌークの頼もしさは言うに及ばず、妻、微笑みのひとニーラは本当に美しかった。
それにしてもカヤックからぞろぞろ出てくるシーンの愉快なことったらない(笑)
そういえば、
太古の昔、アジア人(モンゴロイド)はアリューシャン諸島を渡って北米→アンデス→南米大陸の南端まで移動したんだよね、いわゆるグレードジャーニー。
でもどうしてこの極寒の地に残るグループがいたのだろう。謎だ。
そしてその南米の人たちがいまは巡り巡って再びアジアの日本に出稼ぎに戻って来ているという不思議さ。
雪のイグルーに眠り、流氷にアザラシを追うナヌークの"アジア顔“に、僕の思いも大きく巡る映画鑑賞でした。
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