ロイドのエジプト博士
解説
「ロイドの牛乳屋」に次ぐハロルド・ロイド主演映画で、原作はクランプトン・ハリス、フランシス・M・コックレル、マリアン・コックレルの書き下ろしでこれを「ミシシッピ」のジャック・カニンガムが多くのロイド映画を監督したクライド・ブラックマンと協力改作し、「化石の森」「就職戦術」のデルマー・デービスが脚色し、「三角の月」「恋のみちぐさ」のエリオット・ニュージェントが監督に当たり、「広野の叫び」のアーチー・スタウトが撮影した。助演者は舞台から見いだされたフィリス・ウェルチを始め、「たくましき男」のレイモンド・ウォルバーン、「ロイドの牛乳屋」のライオネル・スタンダー、「波止場女」のウィリアム・フロウリー、その他である。
1938年製作/アメリカ
原題または英題:Professor Beware
ストーリー
ロサンゼルスのオリムピア博物館に勤めている考古学の青年教授ディーン・ラムバートは専攻がエジプト古文明であった。当時、彼はファラオの娘アニビ姫とネフェラスの恋物語を刻んである9個の石碑を研究し、それを原題訳することに凝っていた。ところが最後の9枚目は割れていて、残りの半分が未発見なために恋物語の結末は判らない。未完のままこのエジプト悲劇はロサンゼルスのギリシア劇場で試演され、ラムバートは演出の顧問を引き受けた。その帰途、彼の行く手に立ちふさがった乙女があった。それはアニビの役を勤めた娘だった。某映画会社の大監督配下のスタア掘りだし係ドンランにスタアにしてやると言われて、彼女は監督の邸宅へ伴われる途中だったが、ドンランが泥酔して自動車の中に寝込み、衣類を川に流してしまったので、彼女は困っているところだった。アニビに頼まれて詮方なくラムバートは自分の服をドンランに着せてやり、彼女は監督を訪れた。然し、彼女は体よく断られてしまった。一方、下着1枚のラムバートは警官にみとがめられ、泥酔者として拘引されたが、身分が判って保釈金を届ける約束で放免された。ところが下着1枚の写真が新聞に出たので、博物館を退職になる。折柄ニューヨークの考古学協会からエジプト探険に参加勧誘の電報が来る。彼はネフェラス、アニビ石碑研究もあり、夢想のエジプト行きに一切を投げ出し、新婚旅行に東部へ行く未知の若夫婦の自動車にもぐり込んだ。アニビはラムバート受難は己が責任と信じ、博物館の自動車で後を追う。追い付いた彼女は自分がネフェラス像に酷似していることと、あの夜以来のできごとがすべてネフェラス、アニビ談に符合するので、二人が接近するのは死を招くと信じ込み、夜中逃亡する。彼は翌朝、判事と自称する男とジェリイとの二人組浮浪人と友達になって東部行きの貨車に乗り、散々な目にあって逃げ出す。アニビはなおも追跡してきて貨車に同乗すると、それが冷凍貨車となり、二人はジャージーで浮浪罪で捕縛される。駆けつけた「判事」の弁護で二人は放免され、裁判長司会で結婚させられることとなる。ところが新聞記者がアニビが鉄成金ヴァン・ビューレンの令嬢ジェーンであることを発見して急報したので、ヴァン・ビューレンは娘が浮浪人と結婚しては大変と駆けつけ、式の途中ジェーンを拉致してニューヨークへ帰る。ラムバートは財産泥棒とののしられたのを憤慨して跡を追い、ジェーンが乗せられたヨットへ乗り込んで、ヴァン・ビューレンに直談判を試みるが船員のために海中に投げ込まれる。彼は波止場界隈にいた人々を奇計をもって、ヨットへ誘い込み、大活劇を演じた。ヴァン・ビューレンも初めて彼の人物を見抜いて結婚を許した。失われた九枚目の石碑の破片が発見されたのはそれから数十年後、ラムバートもジェーンも白髪の老人になっている時だった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エリオット・ニュージェント
- 脚本
- ジャック・カニンガム
- クライド・ブラックマン
- 脚色
- デルマー・デイビス
- 原作
- クランプトン・ハリス
- フランシス・M・コックレル
- マリアン・コックレル
- 製作
- ハロルド・ロイド
- 撮影
- アーチー・スタウト