ローマ太平記
解説
「パーミー・ディス」「カンターの闘牛師」と同じくエディ・キャンターの出演するサミュエル・ゴールドウィン作品である。原作は「晩餐八時」のジョージ・カウフマンと「青空恋を乗せて」のロバート・E・シャーウッドとがキャンターのために書き下ろしたオリジナル・ストーリーで、「カンターの闘牛師」「鏡の前の接吻」のウィリアム・アンソニー・マクガイアが映画用に改作し、監督には物語場面を「ラジオは笑う」「頬は薔薇色」フランク・タイルが、舞踏場面を「四十二番街」「流行の王様」のバスビー・バークレイが、戦車場面をラルフ・シーダーが、それぞれ担任して監督した。キャンターを助けて出演する人々は、「青い部屋」「透明人間」のグロリア・スチュアート、「女性暴君」のデイヴィッド・マナース、「流行の王様」のヴェリー・ティーズデール、「ジェニイの一生」のエドアード・アーノルド、それから人気歌手のルース・エティング、等である。撮影は「カンターの闘牛師」「仮面の男(1933)」のグレッグ・トーランドと「シナラ」「秘密」のレイ・ジューンとの協力になるもの。ただし戦場場面だけはジョン・W・ボイルがまわした。作曲作詞は「四十二番街」「ゴールド・ディガース」と同じくアル・ダビン、ハリー・ウォレンのコンビになった。
1933年製作/92分/アメリカ
原題または英題:Roman Scandals
ストーリー
アメリカオクラホマのウェスト・ローマの町に記念博物館が建った。これは町の有力者クーパーが建てたのであるが、この男は元来欲のない人物で、この博物館建設で金を儲けたのである。次いで彼は貧民街から人々を立ち退かせてそこに私利のために刑務所を建てようとした。が、ここに現れたのが町の雑貨やの店員エディーという耳の大きな、眼の丸い男で、これがクーパーに茶茶を入れた。クーパーは怒って彼を町から追放する。エディーは町を追われて、とぼとぼ歩いていくと。その身はいつの間にか数千年の昔へまで歩き反って、古代ローマの町中を歩いていた。そこで彼は敵軍の間諜と間違えられ捕えられて奴隷市場で競売にされる。が危ないところで、目下ローマ臣民の人望を集めているジョゼファスに助けられる。丁度、その時ローマ軍はイギリスと戦って勝ち、姫シルヴィヤを虜として戦車に繋いで凱旋してきた。姫の哀れな姿を見兼ねたエディーは飛び出していって騒いだので獄者に投ぜられる。駄が、それも笑い薬のお陰で危なく助かり、抜擢されてヴァレリウスの毒見役となった。その後、彼は姫に恋しているジョゼファスの頼みで姫の入れられている宮殿に忍び入ったが、遂に姫を助けることには失敗する。その上、ジョゼファスはヴァレリウスの怒りに触れて追放の身となった。しかし、エディーは奴隷オルガと力を合わせて姫を救いだしジョゼファスと共に戦車で逃がす。ところがジョゼファスの戦車が港につけば彼を殺す様にヴァレリウスから命が下っていることを知ったエディーはこれは一大事と戦車で後を追う。またその後を、エディーが重要書類を拾ったことを知って武士の一隊がこれも戦車数台を駆けって追いかける。激しい戦車の追いかけである。と、最後にエディーは車をぶつけて断崖から転落した、と思ったのは夢で、実はエディーはウェスト・ローマで車にぶつかって正気を失っていたのである。が、そのとき、彼は偶然にもクーパーの賄賂の書き付けを持っていた。で、ウェスト・ローマの町に彼は取って返し、悪いクーパーを追い出してしまった。そこで町の人間はこぞってエディーの功績を賛えたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・タトル
- 舞踏場面監督
- バスビー・バークレイ
- 戦車場面監督
- ラルフ・シーダー
- 脚本
- ジョージ・S・カウフマン
- ロバート・E・シャーウッド
- 脚色
- ウィリアム・アンソニー・マクガイア
- 台詞
- ジョージ・オッペンハイマー
- アーサー・シークマン
- ナット・ペリン
- 製作
- サミュエル・ゴールドウィン・プロ
- 戦車場面撮影
- ジョン・W・ボイル
- 撮影
- グレッグ・トーランド
- レイ・ジューン
- 歌
- アル・ダビン
- ハリー・ウォーレン
- L・ウルフ・ギルバート