黎明の剣士
解説
「異教徒」「大飛行艦隊」と同じくラモン・ノヴァロが主演する映画で、「野生の蘭」「クオリティ街」のシドニー・A・フランクリンが監督したコステューム・プレイである。原作はユージーン・スクライブ、アーネスト・レグーヴ両氏合作の舞台劇に基づいて「ハレルヤ」「大飛行艦隊」のリチャード・スカイヤー氏が脚色し、「野性の蘭」「山の王者」のハンス・クレーリーが台本を作った。撮影は「俺は曲芸師」「知られぬ人」のメリット・B・ガースタッドの担任。助演者は「異教徒」「黒旋風」のドロシー・ジョーダン、「ハリウッド盛衰記」「スピードウェイ」のジョン・ミルジャン、新進のマリオン・ハリスである。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:Devil-May-Care
ストーリー
欧州の天地を震駭せしナポレオン・ボナパルトも戦い利あらず追放せられてエルバ島に配所の月をかこつ身となった。近衛兵としてナポレオンに忠勤を返んでていたガスコンの貴族アルマン中尉も、相前後して捕らえられ、牢獄から引き出されていよいよ銃殺されんとした。その刹那、彼は機知によって脱走した。追手は彼の背後に迫って行った。進退きわまり、彼は遂に路傍の家に飛び込んだ。おりから就寝中のその家の娘レオニーが驚愕のあまり悲鳴をあげんとしたのを押さえ、ようやく身を隠したが、不幸にしてこれが追手の感ずるところとなり、敵兵は屋内に乗り込んで来た。彼等の探し求めているのはボナパルトの部下であると聞かされたレオニーは元来、ボナパルト派に対して憎しみを持っていたので彼女は立ち所にアルマンの隠れ場所を指し示した。危機迫れるを知ったアルマンは躍り出して追手の中尉を倒し、彼の軍服を略奪して逃走したが、その際アルマンはレオニーに向かい、彼女の処置を恨むと共に、彼女に対する愛情を示し姿を消した。アルマンは古き友である伯爵夫人の下僕として身を隠すことになった。たまたまレオニーは従姉にあたるこの伯爵夫人を訪れ、アルマンに面接したが、もちろん彼女にアルマンの素性の判りようはずはない。だがアルマンは自分の現在の境遇をも省みず、1日の清遊に彼女の唇に口づけした。レオニーの求婚者であるドゥ ・グリニョンとはアルマンを銃で殺せんとした男で、レオニーの跡を追って伯爵夫人邸を訪れ、図らずもアルマンを発見した。単身では彼を捕らえ難いので、急遽馬を返して援兵を求めに去った。その時突如アルマンのもとへ飛報が届いた。ナポレオンが再挙の旗をひるがえし、エルバ島を脱して、フランス本土に上陸し、同志を糾合しているとの知らせであった。臆病なドゥ ・グリニョンは、敵方が勢いを盛り返したと知るやレオニーを伴い逃れんとした。レオニーは以前から彼を嫌っていたのであるが、周囲の事情から止むなく彼と落ち延びる。これを伯爵夫人から聞いたアルマンはレオニーの跡を追った。結局ドゥ・グリニョンは捕らえられ、レオニーはアルマンの手に帰した。アルマンの胸に抱かれたレオニーは口にボナパルタ派を憎む旨、語ったが互いの胸に燃える愛の力は他を省みる余裕がなかった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- シドニー・フランクリン
- 脚本
- ハンス・クレイリー
- 脚色
- リチャード・シェイヤー
- 原作戯曲
- ユージーン・スクライブ
- アーネスト・レグーヴ
- 撮影
- メリット・B・ガースタッド