洋上の楽園
解説
「義侠のラッフルズ」「狂える悪魔」等により普くファンの憧憬の焦点となったジョン・バリモア氏が、マーシャル・ニーラン氏監督の下に作ったファースト・ナショナル社映画である。アルバート・ペイソン・ターヒューン氏の同名のロマンティックな小説を映画化したもので、相手役は「君を思えば」に最近主演したコリーン・ムーア嬢で、アンナ・Q・ニルソン嬢J・バーニー・シェリー氏等の共演「そばかす」バリー君も一寸顔を出している。
1921年製作/アメリカ
原題または英題:The Lotus Eaters
ストーリー
ジャック・レノィは満25歳迄全然此世間から離れた1帆船上に成人した。彼の父は愛妻の不貞から世の呪い唯1人愛児ジャックを相手に後半生を此船上に暮らして死んだ。彼はジャックに再び己が嘗めた苦汁を味わしめざらん為にジャックを満25歳迄世間に出さしめぬ遺言をしたのである。立派な青年となって上陸したジャックには此世間がすべて驚異であり美しかった。彼は美しいマッジと恋に落ち結婚した。しかし、マッジは動き易い心を持った女であった。家庭の暗い影を忘れるべくジャックは大飛行船に乗り太平洋横断を試みたが失敗して彼は名もなき1孤島に漂い着いた。此島に彼は此世の理想郷を発見した。漂流者が集まって自由と簡易と平和とに満ちた幸福なこのひとつの集落に彼は夢の様な小1年を暮らした。純真な乙女メーヴィスの恋、村人達の親切、而も彼はニューヨークなる妻の事を忘れ兼ねて遂に此島を去った。都、其処は理想郷に遊んだ彼の眼には余りに汚れ切っていた。妻は彼の死報を信じて他の男に嫁していた。彼はかつての父が味わった苦汁を味わった。しかし彼には、彼を待っている理想郷があった。椰子の葉繁る理想の郷、神の様に美しいメーヴィスの愛、俗塵を払ってジャックは永遠の幸福を求めて再び此島へ帰ってきたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マーシャル・ニーラン
- 脚本
- マリオン・フェファックス
- 原作
- アルバート・ペイソン・ターヒューン
- 撮影
- デイヴィッド・ケッソン