憂国の志士

解説

「小公子」「腕白時代」のフレディー・バーソロミュウと「将軍暁に死す」「死刑か無罪か」のマデリーン・キャロルとが主演し、「夜霧の怪盗」「宝石と女賊」のサー・ガイ・スタンディング、「四つの恋愛」のタイロン・パワーが共演する映画で、「ラモナ(1936)」「東への道」のヘンリー・キングが監督したもの。ストーリーは史実にカーティス・ケニヨンが書卸し「コブラ・タンゴ」のアーネスト・パスカルがウォルター・フェリスと協力脚色した。キャメラは「虎鮫島脱獄」「情無用ッ」のバート・グレノンが受持った。助演者は「小公子」のC・オーブリー・スミス及びヴァージニア・フィールド、「家族一連隊」のダグラス・スコット、新顔のジョージ・サンダースその他大勢である。

1936年製作/アメリカ
原題または英題:Lloyds of London

ストーリー

十八世紀の中葉を過ぐる頃、英国ノーフォークの港町で、十二歳のジョナサン・ブレイクとホレイショ・ネルソンは親友であった。孤児のジョナサンは叔母に当たるブレイク後家の酒場の給仕であったが、ある時腹黒い船員が金塊を積んだ船を沈没させ、金塊を他の船に積みかえて横領しようという話をしているのを聞いた。その金塊はロンドンの保険業ロイド商会が、保険を引き受けていることを知って、ジョナサンとホレイショは、ロイド商会に知らせに行こうと約束した。ところが、ホレイショは海軍士官候補生となることとなり、叔父のサックリング艦長に伴われて去ったので、ジョナサンは一人で百マイルを道を歩いて、珈琲店を兼業しているロイド商会にこのことを知らせた。そのため商会は損害を免れた。商会の代表社員アンガースタインはジョナサンの正直さと熱心とを見込んで、給仕に雇った。彼が立派な青年となり、社員になった頃には、ロイド商会は珈琲店をやめて、取り引き所の中に店を構え、英国一の運送業と海上保険業者として雄飛していた。当時ヨーロッパはフランス革命、ナポレオンの覇業、と多事を極めたが、離島の英国は欧大陸の騒ぎをよそに国運は隆盛となった。ジョナサンは牧師に変装してフランスに渡り商会のために活躍したが、帰国の際エリザベスという謎の英国美人を救い恋した。ところが帰国してみると、エリザベスはステイシー卿の婦人で、ジョナサンの恋は破れた。ジョナサンは金力で成功せんと決心して保険業に新分野を開拓して巨利を博した。その頃ジョナサンはエリザベスとまた会い、彼女とステイシー卿の結婚生活は不幸で、彼女は真実ジョナサンを愛していると言ったので、二人は人知れず恋を語るようになった。フランスはついに英国に宣戦し、フランス艦隊は英国の商船を片っぱしから撃沈した。これがため、ロイド商会は大打撃をこうむり、アンガースタインは保険料の値上げが不可能ならば、提督ネルソンが率いる英国艦隊を二分して商船を保護してもらうと主張した。ジョナサンは英艦隊を二分してはフランス艦隊に打勝てない、と言って反対して、保険料で艦隊の保護なしで、荷を引き受けた。エリザベスは彼女の私産を投出して彼を助けたが、形勢は日々に非となり、ついに海軍卿も艦隊二分に賛成するに至った。少年時代に別れたままのネルソンはジョナサンに手紙を寄せて、彼が独り艦隊二分説に反対してくれることを謝し、是非とも二分させぬように努力してくれと依頼して来た。意を決したジョナサンは、ネルソン提督フランス艦隊を撃滅す、との虚報を発表して艦隊二分の要無きことを人々に悟らせた。しかしステイシー卿は虚報たることを看破し、ジョナサンを糾弾せんとしたが、彼を失脚させるとエリザベスの全財産が回収不能となるので思い止まった。が、数日後ついにネルソンはトラファルガー沖にフランス艦隊を撃滅した。その時ネルソンは狙撃されて致命傷を負った。時を同じうして、ジョナサンは背後からステイシー卿に狙撃され、卿は自殺した。幾日か生死の境を彷徨したジョナサンは、ネルソンの国葬を窓から見て、初めて彼が戦死したことを知って感慨無量であった。そのジョナサンの嘆きを慰めるのはエリザベスであった。

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