野球王
解説
リチャード・ディックス氏主演のスポーツ劇で「蹴球王」の姉妹篇と称すべきもの。サム・ミンツ氏が書卸した物語を「蹴球王」の脚色者レイ・ハリス氏、監督者フレッド・ニューメイヤー氏、撮影者エドワード・クロンジェガー氏が協力して製作した。ニューメイヤー氏作品には「ロイドの人気者」「私のパパさん」等がある。ディックス氏の相手女優は「弱虫運動療法」「幸運馬蹄騒動記」出演のジーン・アーサー嬢が選ばれて演じ、クロード・キング氏フィロ・マッカロー氏、ウェード・ボトラー氏ロスコー・カーンス氏、マイク・ドンリン氏等が助演するほか職業野球団の選手及び審判者が特に出演している。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:Warming Up
ストーリー
エフ・ピアポント・ポストを団長としバック・ドイルを監督と仰ぐニューヨークヤンキー野球団が春の練習に掛った頃、地方リーグでは名あるユーリカ・ベアキャツの投手ビー・ラインことバート・トリヴァは大望を抱いて故郷を後にニューヨークへ出て来た。バートは憧れのヤンキー軍のグラウンドにトランク一つで姿を現した。そして練習を見物するうち本塁打王マッシャー・マックレーにからかわれるとは知らず彼に対して投球するとマックレーは頭に球を食って倒れた。これを狂言とは如らぬバートは悲観してグラウンドを走り去り、とぼとぼと歩くうちカーニヴァルの球投げ店に呼込まれ、球を投げて見ると的の人形が皆倒れたので店主は驚き彼を早速店に雇った。この様を眺めていたのがヤンキー軍の団長ポストの娘のメリーで、彼女はミニー・ジルチと名乗ってバートと近づいた。その晩ドイルは団長と共に球投げの店の前へ行って眺めると正しくバートの技倆が優れているので明日ヤンキー軍のグラウンドへ試験に出頭せよと命じた。バートは翌日の試験で見事が腕前を示したがマクレーにだけは死球を食わせた。しかしドイル監督はバートを投手として採用したので彼は大喜びでミニーのところへ吉報をもたらした。ミニー実はメリーは女中の様子をして彼を迎え大いに励ました。以来バートは毎日のように女中だと思込んでいるメリーに電話をかけるのを楽しみにしていたが、愈明日からはピッツバーク軍との世界選手権試合が始まるという晩監督から外出を禁ゼられているにも拘らず彼女に逢いに行った。之より先ヤンキー軍に加わる筈だった本塁打王マクレーはある種の野球規定により敵方のピッツバーグ軍に入っていた。バートは苦手であるマクレーに大事な時に四球を与えて怱ちノックアウトされて了った。それから試合は三勝三敗で愈決勝試合の日となった。試合は進んで九回目となったが得点はヤンキー三対ピッツバーグ二で、この回を無事に送ればヤンキーの勝利となる場合、不幸ヤンキーの投手ルーカスは負傷したためにバートが無死満塁のピンチに投げることになった。必死のバートは強打者2人を三振にうち取ったが3人目は苦手のマクレーで彼は又もやボールを三つ連発した。この時マクレーはメリーのことでグラウンドの中で彼を嘲笑したので憤激し遂にマクレーをも3振にしたので、ヤンキーの勝となりバートは一躍世界的選手となった。そして意中の美人ミニーことメリーを手に入れることも出来た。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フレッド・ニューメイヤー
- 脚本
- サム・ミンツ
- 脚色
- レイ・ハリス
- 撮影
- エドワード・クロンジェガー