メルバ
劇場公開日:1954年1月
解説
19世紀末から廿世紀初めにかけて華かな存在であった女流歌手ネリー・メルバの伝記映画である。製作は「アフリカの女王」のS・P・イーグルで、ホライズン・プロの第2回(1953年)作品。監督のルイス・マイルストーン、脚本のハリー・カーニッツは「廿日鼠と人間」と同じスタフ。撮影はテッド・スケイフ、(「アフリカの女王」の撮影助手)音楽監督は「邪魔者は殺せ」のミューア・マシーソンの担当。メルバにはメトロポリタン・オペラの新人パトリス・マンセルが扮し、ロバート・モーリー(「文化果つるところ」)、ジョン・マッカラム(「鷲の谷」)、ジョン・ジャスティン(「超音ジェット機」)、マーティタ・ハント(「大いなる遺産」)、アレック・クルーンズ、シビル・ソーンダイクらが共演。
1953年製作/112分/アメリカ
原題または英題:Melba
配給:UA日本支社=松竹
劇場公開日:1954年1月
ストーリー
ネリイ(パトリス・マンセル)は若い頃、家族や恋人チャールズ ・アームストロング(ジョン・マッカラム)とわかれ、生れ故郷のオーストラリアを後に巴里へ歌の修業に旅立った。巴里では、エリック(ジョン・ジャスティン)という英国青年がネリイに恋し、彼女を名歌手マルケージ女史の弟子にするため努力してくれた。エリックはまたネリイがブラッセルでオペラに出演する契約もしてくれた。このときはじめてネリイは、彼女の出生地メルボルンに因んでメルバという芸名を名乗った。初出演は大成功で、マルケージ女史はネリイをロンドンのコヴェント・ガーデンの王立オペラに推せんしてくれた。ロンドンについたネリイは、たちまちホテルの持ち主シーザー・カールトンの心をとらえ、カールトンは彼女に最上の部屋を提供した。コヴェント・ガーデンでも大成功をおさめ、ネリイはヨーロッパ各国を次々と巡演した。そうした彼女の側にはエリックとカールトンがいつも影の如くつきそっていた。モンテ・カルロに滞在していたとき、チャールズが突如オーストラリアから彼女の前に現われ、求婚して翌日には結婚式をあげてしまった。エリックとカールトンは深く悲しんだ。チャールズはネリイに歌手を止めて帰郷するようすすめ、ネリイもその気持になっていたとき、アメリカの大興行主オスカー・ハンマーシュタインがネリイを訪れ、紐育公演を申し入れた。ハンマーシュタインは、彼女の美声が世界中の人々のものであるとチャールズに説き、チャールズも遂に賛成して、ひとりオーストラリアへ帰って行った。以来、ネリイはチャールズを想いつづけ、ヴィクトリア女王の御前で歌う光栄に浴したときも、まずオーストラリアの民謡を歌って故郷とチャールズの想い出に捧げた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ルイス・マイルストン
- 脚本
- ハリー・カーニッツ
- 製作
- S・P・イーグル
- 撮影
- テッド・スケイフ
- 美術
- アンドレ・アンドレイエフ
- 音楽監督
- ミュア・マシースン
- 録音
- G. R. Stephenson
- 編集
- ビル・ルースウェイト
- カラー・コンサルタント
- ジョーン・ブリッジ
- オペラシーン監修
- デニス・アランデル