満蒙龍騎隊
解説
「シマロン(1931)」「戦時特務機関」と同じくリチャード・ディックス主演映画で、「シマロン(1931)」のウェズリー・ラッグルズが監督したもの。ジョージ・キッブ・ターナーとメリアン・C・クーパーとジェーン・バイジロウが共作した物語を「シマロン(1931)」のハワード・エスタブルックが脚色している。キャメラはディックス映画の全部をクランクしているエドワード・クロンジェガーの担任である。助演者はデンマークから招待された新人グウィリ・アンドレ、「極楽特急」「月世界征服(1931)」のエドワード・エヴァレット・ホートン、新進アーリン・ジャッジ、「第一年」のダッドリー・ディジェズ、、「マタ・ハリ」のC・ヘンリー・ゴードン、ザス・ピッツ、森俊恵、アーサー・ストーン等。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Roar of the Dragon
ストーリー
東亜の天地は危機を孕んで、暗雲満蒙の野に低迷せる頃。松花江流域に出没し跳梁していた馬賊ヴォロンスキイのために破壊された遊覧船、止むなくある町に一時仮泊しなくてはならなくなった。人々は馬賊襲来の声に怖えているというのに、船長カースンが来て、相も変わらず酒場で酒を呷っているのだ。使いが来て、ホテルの8号室の婦人客が逢いたいといっていると告げる。ナターシャといって、黒衣の美人である。ヴォロンスキイの女だ、といわれている。しかしカースンは、好奇心からナターシャに逢う。ハルピンまで船に乗せて行ってくれとの頼みである。そしてカースンはこの頼みを容れてやるのであった。折柄、闇をついての馬賊の襲来。ホテルの男は一人残らず銃を取って応戦だ。カースンは機関銃で勇しい働き振りだ。場賊たちは一時退いて持久戦になる。ホテルの食物は次第に窮乏を告げて来る。ナターシャは勇ましいカースンを見て、今までの不純な気持を捨て、今では淡い恋心をさえ感じ出したのであった。嵐は益々激しさを加える。カースンは、ひとり後に残って防備するからとて、一同を裏口から船へと逃してやる。後にはただ2人、カースンと、バスビイである。だがバスビイはヴォロンスキイの投げたナイフに傷き倒れる。カースンは傷ついたバスビイを肩に負い、追いすがって来る敵をピストルで防ぎつつ、船へと急ぐ。やっと船へ辿りついたとき、バスビイは恋人ヘレンの名を呼び乍ら息をひきとってしまうのであった。朝霧の深く立ちこめた松花江の上を、船は静かに滑って行く。