ボルネオの東
解説
デール・ヴァン・エヴァリーがストーリーを組み立て撮影台本にまとめ上げ、エドウィン・ノッフが台詞を付したものから「言論の自由」「疑惑の渦」のジョージ・メルフォードが監督した映画で、主演者は「リリオム」のローズ・ホバートと「氷原の彼方」「ダイナマイト(1929)」のチャールズ・ビックフォード。助演者としてジョージ・レナヴェント、ルピタ・トヴァー、ノーブル・ジョンソンが顔を出す。撮影はジョージ・ロビンソンが担任。
1931年製作/アメリカ
原題または英題:East of Borneo
ストーリー
赤道直下に横たわるマレイ半島の叢林中の水流をさかのぼる筏があった。船頭はすべてマレイ原住民であるが乗客というのは白人の女である。これはアメリカ生まれのリンダ・ランドルフという夫人でその行き先はマルトゥー王国の城主ハシンの城郭であった。その城郭は水流に沿って建てられてああったがすぐ付近にそびえ立つ噴火山の数たびの活動によって浄化の村落ともども荒廃していた。城主ハシンにはアラン・クラークという白人の医師が仕えていた。クラークがかくも辺境の地にまで来たことに着いては悲しい事情が潜んでいた。そのため彼はこの未開の奥地にあってもいまだその憂鬱を紛らわさんがため日夜強烈な酒に自棄的な時をすごしているのであった。白人の女性が来訪したというのでクラークは歩みを饗応室へはこんだが、そこに見いだした女こそはその昔自分を裏切って情人のもとへ走り、絶望のどん底へ突き落としたリンダであった。が、今は前非を悔い情人ランドルフを別れた彼女はクラークに愛の復活を迫ってはるばるこの地に彼を訪れたのである。だがクラークの怒りは容易に消えようともしない。しかし彼の心の底には彼女に対する愛が影をやどしていることは否むことが出来なかった。初めて見る白人の女の美しさに城主が好奇の眼を光らせた時、それは遂に姿を表した。リンダの身に危険迫るとしるやクラークはその救助のため彼女を導いて城外に逃げ出たのである。けれども土地不案内な2人はたちまち追手の手に捕らえられて再び城主の目前に連れ戻される。そして城主は自分に背くクラークを監禁の上、鰐族の群る河中に彼を投ぜんと準備した。城主のこの恐ろしき企てを知ったリンダはクラークを救わんがためあらゆる手段を尽くした。がそれらは甲斐なき努力となり良人は愚か彼女自身さえ忍び難き凌辱をうけんとする危険にさらされたのでリンダはやむなく隠し持ったるピストルで城主をその場に射ち倒してしまった。監禁されていたクラークは医師として呼ばれた。この時彼は城主からリンダの自由を保証することを条件として手術にとりかかる。おりもおり、火山は大鳴動として共に激しき噴火を開始した。自由は得たがリンダはクラークなしでは立ち去らぬと言う。重傷を負える己が身の余命いくらもないことを悟った城主は白人男女の愛の強さを見て初めて2人からいっさいの束縛を除いてやる。猛獣と蛮族と火山と生命を脅かす幾多の危険を後にして愛し合う2人は文化の地に立ち戻るべく水流を下っていくのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョージ・メルフォード
- 脚色
- デイル・バン・エベリー
- 原作
- デイル・バン・エベリー
- 台詞
- エドウィン・H・ノッフ
- 撮影
- ジョージ・ロビンソン