貿易風

解説

「スタア誕生(1937)」「海賊(1938)」のフレドリック・マーチと「テキサス人」「幸福は空から」のジョーン・ベネットが主演するウォルター・ウェンジャー作品で、「生活の悦び」「奴隷船」のテイ・ガーネットが監督したもの。ストーリーもガーネットが書卸し、「スタア誕生(1937)」のドロシー・パーカー及びアラン・キャンベルと「牧童と貴婦人」のフランク・R・アダムスとが協力脚色している。助演者は「気侭時代」「新婚道中記」のラルフ・ベラミー、「楽天伯爵」「スタアと殺人鬼」のアン・サザーン、「ハリケーン(1937)」「コンドル(1939)」のトーマス・ミッチェル、「最後のギャング」「スエズ」のシドニー・ブラックマー、「歓楽の女王」のロバート・エリオット、「空のギャング」のパトリシア・ファー、「麗人遁走曲」のウイルマ・フランシス、「ある雨の午後」のフィリス・バリー、「処女読本(1938)」のドロシー・ツリー、「特種漁り」のウォルター・バイロン、ケイ・リネカー、リンダ・ウインタース等で、キャメラは「マルコ・ポーロの冒険」「ステラ・ダラス(1937)」のルドルフ・マテの担任である。

1938年製作/アメリカ
原題または英題:Trade Winds

ストーリー

サン・フランシスコのある宴会の席上で、美しい金髪娘ケイはショパンの曲を奏して拍手を受けている時、妹が悪名高いトーマス・ブルームのために自殺したとの知らせを受けた。ケイは怒りの余り彼のアパートを訪ね思わず彼を射殺して霧深い町を逃走した。現場の遺留品から、素人のヘボ探偵プロジェットもケイを犯人とにらんだが、すでに彼女は姿を消していた。ところがホノルルで彼女が入質した指輪から足がつき、私立探偵サム・ワイは当局の依頼によって後を追うことになった。彼は女に甘い男なので秘書のジーンはそれを心配したが、サムは彼女を置いてプロジェットと共にハワイへ向った。しかし彼女は髪を黒く染めて、日本へ立っていた。後を追った2人は神戸、上海、インドシナからついに西貢へやってきた。ここでプロジェットは犯人を逮捕したが、意外にもそれはサムの秘書ジーンであった。彼女は被害者ブルームの父が、犯人を逮捕した者に10万ドルの懸賞金を出したので、しかしサムは彼女をまいて又もプロジェットと一緒にシンガポール行の船へ乗込んだ。偶然にケイもこの船に乗っていた。だが皮肉なことに、サムとケイは、一目見るなりたちまち恋に陥ってしまったのである。幸いのろまのプロジェットは、彼女が犯人であるなど夢にも気がつかない。一方取残されてジーンは、貧しい宣教師に化けて巧みにケイに近づいた。そしてサムに捕縛をすすめたが、サムが10万ドルの賞金を一人占めにしようとしているらしいので、腹立ちまぎれに一切をケイに打明け、女2人でコロンボへ逃げた。初めて気がついたサムが驚いて警察へ手配したので、サスは後を追ってケイに逢ったが、波止場で犯人をフォークナー刑事に引渡さねばならなかった。ところがサムは代りにジーンを渡し、ケイと2人で小さな島へ逃げて行ったが、そこにも当局の手が回って、追跡したフォークナーのためにサムは手を射たれたので、突差にケイの手に手錠をかけ、自分は逃走を企てたケイをここまで追いかけ、やっと捕縛したのだと申し出た。そしてケイには自分は10万ドルの賞金を独占するためにしたのだと告げ、一行はサン・フランシスコへ帰った。そしてサムは10万ドルの賞金を手に入れ、ケイは投獄されて裁判の日を待つことになった。間もなく公判が開かれ、彼女は判決を下される日が近づいたある夜、サムは被害者ブルームが殺されたアパートでパーティーを開いた。席に招待されたのは、殺されたブルームと知り合いの人たちばかりであったが、その中にはサムが苦心して探り集めた6人の女性があった。それはブルームの生前に彼と深い関係のあった女たちである。サムはその席上で巧妙なトリックを用る。ついにその中から真犯人を探知した。その女は自分を棄てたブルームを恨んで兇行を演じ、その罪を来合わせたケイに塗りつけたのである。こうしてケイは無罪になった。サムの行為が、自分を愛する心から出たものであったことを知ったケイは、今までの誤解を一掃し、サムと楽しい結婚生活に入ることになった。

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