法の外(1930)
解説
M.G.M 社で「見世物」「知られぬ人」その他を作ったトッド・ブラウニングがユニヴァーサル社へ復帰後の第1回監督作品で原作は自身の筆になり、脚色及び台詞は氏と「喝采」「女は嘘つき」のギャレット・フォートが共同であたった。主なる出演者は「妻呼ぶ怒涛」「ソレルとその子」のメアリー・ノーラン、「黒い鳥」「導火線」のマット・ムーア、「夜襲」のエドワード・G・ロビンソン、幼年俳優デルマー・ワトソン、「疑惑の渦」のロックリフ・フェローズ、デウィット・ジェニングス。カメラは、「恋の行末」のロイ・オヴァボーが担任している。ちなみにこのストーリーは同一監督により1921年にも映画化されたことがあった。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:Outside the Law
ストーリー
金庫破りの専門として泥棒仲間に名を知られていたフィンガース・オデルは、いつまでそんな悪事のつづくものでないということを悟り、足を洗うつもりで、ある町の銀行に広告人形となって働いていた。彼の昔の仲間で暗黒街の親分たるコブラは、オデルのこの堅気な姿を認め、彼を呼びよせて銀行泥棒の仕事を共同でやろうと誘う。だが、昔の商売に嫌気のさしているオデルはこれを態よく断る。オデルにはインチキ見世物に出ているコニーという情婦があったが、女に目のないコブラはオデルへの腹いせに、このコニーに言い寄ってみた。しかしこれも失敗に終わり彼はいまいましい腹を抑えて引き下がらねばならなかった。ところが、ある晩オデルはほんのちょっとした間違いから、銀行の中に閉じ込められせっかく静まっていた昔の性分が頭を持ち上げ、つい盗む気もなくそこに金庫を破って50万ドル盗み出し、コニーの助けを得て逃げ出すことができた。2人はその大金を手にするや、官憲の目から脱れるため、あるアパートの一室に身をひそめ、高飛びの機会を窺っていた。2人に出し抜かれたことを知ったコブラは口惜しくて耐らず、彼等の行方を血眼でたずねさがし、ようやくその潜伏している場所を発見し、そこへ押しかけて行った。ところが2人の部屋へ入ろうとした時、コブラは隣室に住む一警官と顔を合わせた。たちまち両者の間に撃ち合いが始まり結局両方とも傷ついてしまう。不意の出来事に驚いたのはコニーとオデルであった。思わず扉を開いて見れば、そこにはコブラと1人の警官とが気息奄々となって倒れている。そしてその警官というは、日頃2人が可愛がってやっていた隣室の幼児の父であることがわかった。彼等は自分の身辺に危険が迫っていることを知った。だが、苦しい中から幼児の名を呼ぶ父親としての警官の真情を知った時、彼等は自分の危険を承知しながら彼の看護に手をつくした。このすきに、あくまでも貪欲なコブラは、オデルの部屋から大金をさがし出し、逃げ出そうとした。が、既に致命的な傷を負っていることとて、彼は階下に転落するとともに絶命してしまった。アパートには急報によって警官が到着した。オデルとコニーはすすんで捕らわれの身となった。かくて彼等に罪の裁きが下されるべき判決の日となった時、裁判長は彼等に改悔の状あきらかなることを認め、想像外の軽い刑期を宣告した。アパート生活中、つくづく過去の邪悪な自分たちを後悔していた彼等は、満期出獄の暁には必ず真人間の生活に入ろうと互いに誓うのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- トッド・ブラウニング
- 脚色
- トッド・ブラウニング
- ギャレット・フォート
- 原作
- トッド・ブラウニング
- 台詞
- トッド・ブラウニング
- ギャレット・フォート
- 撮影
- ロイ・オヴァボー
- 編集
- ヒュー・ウィン