悲恋の楽聖
解説
チャールズ・クライン氏作の舞台劇を映画化したもので、原作者の息子たるフイリップ・クライン氏が映画脚色し、「兄貴」「神ぞ知る」等と同じくアラン・ドワン氏が監督した。「サンキュー」「大山鳴動」等出演の老優アレック・B・フランシス氏が主役を演じ、「神我に二十銭を賜う」「燃ゆる唇」等出演のロイス・モーラン嬢、「ボー・ジェスト(1927)」「沙漠颪(1926)」等出演のニール・ハミルトン氏、ノーマン・トレヴァー氏、チャールズ・レーン(チャールズ・レヴィソン)氏等が主要なる役を演じているほか、ヘレン・チャンドラー嬢、ハワード・カル氏、ドア・デヴイツドソン氏等が助演している。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:The Music Master
ストーリー
ニューヨーク貧民街の近くにアントン・フォン・バルウインクという音楽教師が居た。彼は昼間は子供たちにピアノを教え夜は寄席に出て居た。しかし15年以前には彼は維納の王立過激場の名誉ある楽長でその令名は全ヨーロッパに宣伝されていたのである。彼が得意の頂上にある時彼の妻は彼の友人だった男と米国へ駆け落ちし、一女ヘレンを連れ去ったのだった。失意の人となったアントンは行方を捜しに渡米以来15年間私立探偵に探査を依頼したが、それは彼の財産を散財する外に何の役にも立たなかった。ニューヨーク社交界の花ヘレン・スタントン嬢は慈善会でダニーという少年が音楽の天分を持ちながら良師に就くことが出来ないのを知り、アントンが立派なピアノ教師と聞いてダニーを彼の許へ伴った。アントンは彼女が己が不貞の妻に酷似しているのに驚いた。ヘレンも故知らず老音楽家に心を惹かれ、彼女は彼にピアノを教えに来てくれと頼んだ。ヘレンの許に出稽古に赴いたアントンは壊れた人形や彼女の亡くなった母の肖像を見て、ヘレンが疑いもなく己が娘と知ったが、彼女がニューヨークの門閥家の嗣子ビヴアリー・クルーガーと婚約していることを知ったので、娘の幸福のために父娘の名乗りをしなかった。ところがヘレンの許へフォン・バルウイクという老人が訪ねて来ると知ったスタントンは、ヘレンに老人の出入りを禁じさせようとした。それを怒ったアントンはスタントンに直面して詰まったが、スタントンは何事もヘレンの将来のためという言葉をお茶で濁そうと試みた。アントンはヘレンのことを思えばすべてを我が胸一つに収めんと辞去せんとした時ビヴァリーの父アンドルーに出会った。アンドルーは維納在任当時楽長としてのアントンを知っていたのだった。彼は何事かを感知して直ちにウィーンの米国大使館に調査方を依頼した。数日後1人寂しく故国へ帰ろうとするアントンを訪ねてヘレンが駆けつけお父様と抱き付いた。ビヴァリーはウィーンへ3人連れで新婚旅行に行くのですと言った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アラン・ドワン
- 脚本
- フィリップ・クライン
- 原作戯曲
- チャールズ・クライン