姫百合の花

解説

「断想悲曲」「鴛蔦の歌」の主演者ビリー・ダヴ嬢が「暗黒街」「鉄條網」に名技を示した。クライヴ・ブルック氏を相手役に選んで製作したもので、ラヨス・ビロ氏原作の舞台劇を「ベン・ハー(1926)」「ドン・ファン(1926)」のベス・メレディス女史が脚色し、「トロイ情史」「鴛鴛の歌」をものしたアレクサンダー・コルダ氏が監督した。助演者はニコラス・スーサニン氏、ジェーン・ウィントン嬢、グスタフ・フォン・セイファーティッツ氏、マーク・マクダーモット氏等の腕利きを網羅している。

1928年製作/アメリカ
原題または英題:The Yellow Lily

ストーリー

匈牙利の若い貴族アレクサンダー大公は狩猟のためにタルナヴァルの城を訪れた。彼は恋を漁ること女を弄ぶことには既に倦怠を覚えていた。彼の傍に附ききりのロナは首府ブダペストの女優で彼女の熱情にも拘らず大公は彼女を嫌しくさえ感じていた。そして人々の面前で手酷くはねつけられたロナは毒をあうつてその場に倒れた。人々は驚いてロナをこの町で唯一人の醫師ユージーン・ペレディーの許に運んで行つたが、大公の豫想通りそれはロナの狂言であることが判つた。ロナときつぱり手を切るために醫師の家を訪れた大公は図らずも醫師の妹ジュディスに会つてその美に心を惹かれた。ジュディスは之よりさき大公歓迎の路上で彼の堂堂たると共に優雅な態度にある憧れを抱いていたが、大公が無節操な漁色家であると兄に教えられ今は恐怖を感じていた。大公はしかしこの純真な無垢な処女美に強く動かされ、ベレディ兄妹を舞踏会に招き、遂にジュディスを一人彼の私室に連込んだが彼女を己がものにすることは出来なかつた。堰かれて想いは弥増した大公は更に出発の夜醫師を急患ありと傷つて赴かしめジュディスを襲つて彼女の節操を奪はうとした。欺かれたのを知つて引返したユージーンはこの有様に嚇怒して大公を害せんとしたが、却つて大公に機先を制せられ危うく見えた。ジュディスは兄を譲るために我知らず大公を狙撃し重傷を負はせた。この悲劇はしかし彼女にも大公にもお互いが誠に愛し合つていることを自覚された。命だけは取止めた大公は長い豫後を父母の許に送つた。その間ベレディー兄妹は投獄されていたがアレクサンダー癒ゆると共に国外に追放されることになつた。けれども既に死の関所の一歩前までも行つた2人の愛は何物よりも強かつた。かくて遂に2人の愛が許される日が来た。

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