秘密(1933)

解説

「お転婆キキ(1931)」に次ぐメアリー・ピックフォード主演映画で、ルドルフ・ベジアとメイ・エジントンの合作の舞台劇に基づいてかつての無声作品と同一のスタッフ、フランセス・マリオン脚色、フランク・ボーゼージ監督、に成ったもの。なおマリオンの近業には「シナラ」「チャンプ(1931)」があり、ボーゼージには「戦場よさらば」「バッド・ガール」がある。ピックフォードを助けて、「永遠に微笑む」「婦人に御給仕」のレスリー・ハワードが共演するほか、「ミラクルマン(1932)」「海賊(1931)」のネッド・スパークス、「極楽特急」「地獄のサーカス」のC・オーブリー・スミス、モナ・マリス、アラン・シアーズ、ブランシュ・フレデリシ、ドリス・ロイド等が助演している。カメラは「シナラ」「御冗談でしョ」のレイ・ジューンの担当である。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:Secrets

ストーリー

1860年の頃、ニューイングランドに物持ちウィリアム・マーロウという人がいた。彼は妻と計って、一人娘のメアリーを英国の名門ハーレイ卿にめあわせようとしていたが、メアリーは両親の命に背いてマーロウ家の雇人ジョン・カールトンに恋心を捧げていた。これを知ったマーロウは怒ってジョンを解雇し、同時にこの地方一帯では彼に就職などさせんぞ、と申し渡した。で、ジョンはやむをえずメアリーを残して西部へ金を稼ぎに行くことを考えたが、メアリーとてジョンと別れる事は辛く、遂に2人はこのニューイングランドから駆け落ちすることになった。それが、ちょうどメアリーとハーレイ卿との婚約披露の夜だった。2人の新婚旅行は、西へ西へと向かう幌馬車の内で始まった。それは辛い旅だった。風と雨と悪路と。だが未来の幸福を一途に心ざして人々は幌馬車を進めた。が、無事、難路を乗り切って彼等がカリフォルニアに着くと、そこはカラリと晴れて、未開の自然が広々と彼等の前に広がっていた。これがメアリーとジョンとの新家庭だった。それから2人は家を建て、家畜を飼った。そしてやがて赤子も生まれ、お天陽様という下僕と4人暮らしで、辛いけれど幸せな日々を送った。が、この時この地を荒らす家畜強盗のジェイク・ハウザーの一隊が現れて、ジョンの家畜を奪い去った。ジョンは相手の多勢なのを見て、手向かいができぬと観念し、メアリーにこの荒野で危険にさらされることを説いて、ニューイングランドに帰る事を勧めた。が、メアリーはかえって夫を励まして、牧畜業者が団結して進んで家畜強盗を掃蕩する事を説いた。この妻の健気な言葉に奮起したジョンは以来、人々と結んで3日3晩の捜索の後、ハウザーの弟外2名を絞刑に処した。そして彼が家に帰るとちょうど、赤ん坊が重体で妻が心配しているところだった。そこへハウザーの一味が弟の仇討ちに押し寄せて来た。で、たちまち小屋は彼等の重囲に落ちた。何といっても多勢に無勢で、お天陽様も傷付いた。小屋には火が放たれた。その上重病だった赤ん坊は親達が防戦している間に命を引き取っていった。だが、ジョン達の危急は救援隊が折よく駆け付けたので救われた。それからジョンとメアリーとは幼けなく死んだ愛児を、山の裾に名ばかりの墓を立てて葬った。また改めて、生活の立て直しが始まった。そして数年は過ぎて、その間、ジョンはメキメキと出世していった。2人の間には、男2人、女2人の子供がもうけられた。だが、ジョンがいよいよ知事に当選するという祝賀の夜にマルチネスという女が宴会に乗り込んで来たので、メアリーは暗い気持ちになった。そしてマルチネスから夫との間を聞かされた時、メアリーは夫の幸福の為に自分の身を引こうとさえ覚悟した。だが、ジョンは今までに幾度も他に女を作りはしたが、常に変わらぬ愛を抱いているのは妻のメアリーの他にはない、と強く言い切った。その夫の心はメアリーとて良く知っている事だった。それゆえにこそ、今までメアリーは辛い事があろうとも、夫の傍を離れずに暮らして来たのだった。夫婦の仲は以前よりも固く結ばれた。その後ジョンはますます出世するばかりだったが、やがて2人は互いの余命を2人きりで楽しみたくなった。2人は昔の甘く、また怖い秘密を想い返して、それに静かに耽ろうと考えた。で、ジョンとメアリーとは、止める子供達の手を振り切って、また西へと帰って行った。が、乗り物だけは違っていた。昔は幌馬車の旅だったが、今度は自動車での旅である。

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