サンクス・ミリオン
劇場公開日:1936年6月18日
解説
「海行かば(1935)」「真夏の夜の夢」のディック・パウエルが主演する音楽映画で、メルヴィル・クロスマンの原作を、「ロスチャイルド」のナナリー・ジョンソンが脚色し、「踊るブロードウェイ」「百万弗小僧」のロイ・デル・ルースが監督し、「巌窟王(1934)」「暗黒街全滅」のペヴァレル・マーレーが撮影している。助演者は「Gメン」のアン・ヴォーザーク、ポール・ホワイトマンとその管弦団、「その夜の真心」のレイモンド・ウォルバーン、「夜毎八時」のパッシー・ケリー、ヴァイオリン奏手ルビノフ、ヨット・クラブ・ボーイズ、「わたし貴婦人よ」のペニー・ベイカー、フレッド・アレン、アラン・ダインハート、ポール・ハーヴェイ、アンドルウ・トーマス等という贅沢なキャストである。
1935年製作/87分/アメリカ
原題または英題:Thanks a Million
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:1936年6月18日
ストーリー
ネッド・ライマンを座頭とするヴォドヴィルの一座は、地方巡業に失敗して貸し切りバスに乗ってニューヨークに引き返す途中、車の故障である田舎町に時を過ごさねばならなくなった。一行はサリイとフォーブの姉妹、歌手のエリック・ランド、ヴァイオリニストのルビノフ、ヨット・クラブ・ボーイズ、ジャズバンド等が主な芸人であった。ネッドは時を過ごす退屈をまぎらすため、ちょうど近くで開かれていた知事選挙の候補者ダリアス・カリマンの演説会に飛び込んだ。ネッドはカリマンの演説が聴衆に何等の反響も呼び起こさないのを見て、早速興行者らしい名案を思い付いた。それは巡業に失敗して休んでいる自分のヴォードヴィル一行を候補者に売り込み、演説会の舞台に立たせ、聴衆に無料で見せようというのである。落選を恐れたカリマンはそれを二つ返事で承諾したが、ニューヨークに帰りたがっている一行を説得するのは容易ではなかった。やっと一行を納得させいよいよ舞台が開かれると、歌手エリック・ランドの歌が土地の人達に非常に大当たりで、日が経つにつれて彼の人気はますます昇っていった。ところが予期に反してカリマンの人気はエリックに逆比例して下るという有様なので、カリマンは遂に彼を解雇してしまった。この様子を見てカリマンの黒幕である策士クルーガーは、カリマンの代わりにエリックを立候補せしめようと考える。それにはエリックに思召のある若いクルーガー夫人の勧めが大部興っていた。エリックの歌に対抗し、彼の人気を引き下げるため、現任知事はポール・ホワイトマンやフィル・ベーカーとその一党を招いて演説会の舞台に立たせるという形勢で、この田舎町で端なくもアメリカのジャズ王の腕比べが見られる事になった。クルーガー夫人のエリックに対する態度を見て、前から彼を愛しているサリイは嫉妬を起こし、彼と口論の末姿を消す。エリックも夫人の態度を嫌って彼女との交際を断ち、演説会で黒幕政治家クルーガーを攻撃し、候補辞退を発表した。当ての外れたクルーガー一味は彼を脅迫せんとホテルへ押し寄せた。その時サリイは彼の危険を知って裏梯子から逃がし、2人でニューヨーク目掛けて自動車を走らせた。翌朝2人の乗った自動車はオートバイに乗った警官隊に囲まれたが、エリックが尋問に答えて姓名を名乗ると、警官隊は一斉にピストルの祝砲を射って万歳を三唱した。エリックは知事に当選していたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロイ・デル・ルース
- 脚色
- ナナリー・ジョンソン
- 原作
- ダリル・F・ザナック
- 製作
- ダリル・F・ザナック
- 撮影
- J・ペバレル・マーレイ
- 音楽
- ガス・カーン
- アーサー・ジョンストン
- バート・カルマー
- ハリー・ルビー
受賞歴
第8回 アカデミー賞(1936年)
ノミネート
音響録音賞 |
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