黄金のレビュー・感想・評価
全11件を表示
Easy come, easy go.
昔の映画の分、技術的描写ひとつひとつのリアリティは現代と見劣りはしますが、物語の普遍性は保たれておりむしろ舞台調の演出がメッセージ性を更に強調してくれてる印象でした。
最初はそこまで腰据えて鑑賞する気は無かったのですが、やはり良いものは良いんでしょうね。最後まで釘付けでした。
個人的に、ハンフリーボガートがこんな汚れ役をするとは思ってなかったのでそこもいい意味で期待を裏切ってくれました。
昔の人も怒っていたのだろうか
古い名作映画などは物語の核心が動き出すまでが長い。気持ちが焦っている現代人の感覚からすると、無駄なシーンだ、とか、尺稼ぎだ、とか、見当違いの批判が出そうなゆっくり加減である。
実際はもちろん無駄でも尺稼ぎでもなく、一つ一つ必要な場面を丁寧に積み重ねているだけなのだが。
現代人の感覚に合わせた最近の映画だと、この積み重ねがないからどうにも薄っぺらくなって駄目だ。その点「黄金」はイイ。
さて内容についてだが、まず最初に注目すべきは、自分が考えていることは他人が考えていることと同じだと思い込む罠だろう。自分がつまらない映画は他人もつまらないはずだ、という感覚。本作の中では黄金をめぐる思惑がそれにあたり、疑心暗鬼を生んでドラマを形成していく。
ドブズはこの罠にドップリと浸かりこんでいくが、彼が本来持っていたであろう性質と器の小ささが相まって、哀愁が漂うほどに悲劇とも喜劇とも言えないような、全くバカだねぇと漏らしたくなるラストを迎えことになる。
次の注目ポイントはやはりエンディングだろう。
高評価の映画を観てつまらなかったときに怒りのレビューを書き込む人をたまに見るが、彼らは一体何に怒っているのだろうね?
怒りや憎しみは良い結果を生まないし、怒りや憎しみの反対が何なのかわからないけど、少なくとも笑いは前向きな気持ちを生み出すと「黄金」は教えてくれた。
現代でも通じるテーマを持った古い名作は多いが、逆に現代だからこそ刺さるこの「黄金」はなかなか貴重なのではないだろうか。
肝心の怒れる若者は本作など観ないだろうけどさ。
ボギー❗️あなたは役者だ‼️
極限状況における人間の欲望がいかにして魂を食い荒らしていくのかを描いた、ジョン・ヒューストン監督&ボギーの名コンビによるチョー傑作‼️「マルタの鷹」のサム・スペードや「カサブランカ」のリックに心酔する私としては、この作品でのボギー扮するドブスは、感情の起伏の激しい偏執狂で、あまり好きなキャラではないのですが、この傑作のテーマを象徴するキャラクターとして、ドブスというキャラを見事に体現したボギーの演技力は素晴らしいと思います‼️汚い町や汚いキャラたち、太陽や砂地のギラギラざらざらした汚い感触、女性キャラも皆無でセンチメンタルな要素も全くなく、非情に徹した作風が行き詰まるスリルとサスペンスを生み出しており、これぞハードボイルドの極致ですね‼️ラスト、ドブスを殺した山賊が砂金の価値がわからず放り出してしまい、砂金が大地に戻っていくシーンは、スタンリー・キューブリック監督の「現金に体を張れ」のラストと並び、欲望が無に帰す双璧なシーン‼️やっぱり人間過剰な欲張りはいけませんね、人並みくらいが丁度いい‼️ちなみにジョージ・ルーカス&スティーヴン・スピルバーグ監督はインディ・ジョーンズのキャラ造形にドブスが大きく影響していると語っていますが、全く意味不明というか、わからないですね・・・
AFI 30位の古典名作
昭和23年の作品でアメリカ人には古典として親しまれている作品です。
男っぽい作品が好きなヒューストン君の男っぽいというより男くさい映画です。
今観るとちょっと演技も大げさすぎるきらいはあるものの、意外に話が上がったり下がったりでスリリングです。しかし、ボガード君ってハードボイルドも決まるけど、こういう薄汚くて性格がひねくれてる胸糞悪い悪役やると水際立った演技を見せますね。
黄金は人を変えてしまう
冒頭では宝くじの当選番号を確かめるボガード。あーあ、やっぱり駄目だと、「同郷のよしみで」と物乞いのまねを・・・そんなとき飛び込んできたのが金鉱の仕事。一日8ドルだ!「黄金は人を変えてしまう」と言った爺さんの言葉が信じられないドブズ。それを確かめたい気持ちもあったんだろうな。
疑心暗鬼。砂金を見つけてせっせと掘る3人。分け前について話し合ったときから、お互いが信用できなくなる。
ある日、コーディというアメリカ人に跡をつけられ、3人が金を掘ってるんじゃないかと疑われる。そして、殺すのか仲間にするかと選択を迫られ・・・緊張した心理劇になるかと思っていたら、そこへ山賊がやってきた。銃撃戦となり、コーディが死んでしまう。
一人一人が一生遊んで暮らせる分を掘りつくし、帰途につく一行。途中、メキシコインディアンに川に落ちて動かなくなった子供を助けてくれと言われ、ハワードが手伝う。奇跡をおこしたと讃えられ、村に招待されてしまった彼を置いて、ドブズとコーチンが町へ向かった。しかし、ドブズの猜疑心は膨れ上がるばかり。ついに自分の手でコーチンを撃ってしまうが、瀕死で逃げ、ハワードのいる村にたどり着いた。
ドブズは一人北へ向かうが山賊に殺され、ロバも砂金も奪われてしまい、金の価値がわからない山賊はあっさり捨ててしまうのだ。先住民たちとハワード、コーチンが砂金を捨てたとされる場所で大笑い。「神様がくれた冗談だ」・・・
さもしい心と疑う心。一山当てることを目指しただけなのにここまでドラマが待っているとは。ハワードはそのまま村で医者に、ドブズはコーディの家へ向かうことになる爽やかさ。
見応えある、素晴らしい傑作
ハンフリーボガードが見事な悪役を演じる
物乞いをする情けないシーンから始まり、黄金に目が眩み次第に正気を失ってしまう様が見事だ
歓迎されざる闖入者の妻からの手紙を読んで、人間らしさを一時でも取り戻すシーンも素晴らしい
しかしなんと言っても爺様役のウォルター・ヒューストンだ
なんと彼は本作の監督ジョン・ヒューストンの父親
つまり本作で監督と彼とで、監督賞と助演男優賞を親子で受賞してしまっているのだから物凄い
説得力のある見事な演技だ
脚本も撮影もテンポも申し分なし
素晴らしい傑作だ
ラストシーンの何もかもむなしく大笑いするしかない結末は、黄金の魔力を見事に表現しきった本作の結末に実にふさわしい名シーンだった
見応えのある傑作とは、本作のような作品の事だろう
演技賞
アカデミー賞で「カサブランカ」はノミネート
「黄金」は監督と助演が受賞したが この作品でボガードは主演ノミネートされてもよかった ボガードのワイルド系では「アフリカの女王」がようやく受賞した もともと悪役いっぱいやってるからこういう役もリアルにこなせる 冒頭ハズレクジに無言の哀しい目がいい
ハワードのように 春風駘蕩に生きたい。
主要な3人の登場人物の性質が三者三様でありながら、一緒に行動するのに非常に良いバランスが取れている風で、見ていて面白かった!
また、人間の日常的な善意と、生活の為の欲がこれまたバランス良く描かれているのも見処だと思う。
人の運命って、やっぱり 一見ちょとした(様に見える)選択の積み重ねで大きく変わるのだなぁと。
ハンフリー・ボガート演じるフレッドが、黄金の持つ魔力によって(というより、疲労と睡眠不足のせいかも?)徐々に精神不安に陥って変貌していく様が、鬼気迫るものがある。
全11件を表示