追跡(1962)のレビュー・感想・評価
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悪党の俳優につきる
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悪党の俳優が怖くてとてもいいと、随分前から聞いていた映画です。監督のB・エドワーズの映画は、ピンク・パンサーシリーズや”グレート・レース”といったコメディを観てきましたが、ヘプバーンの”ティファニーで朝食を”なんて恋愛ものもあって、時に異色が出る印象です。
この”追跡”は、私からみるとその異色ですが、とてもピンク・パンサーをつくった監督とは思えない、筋肉が緩むところがほぼないつくりになっています。白黒なのも緩みないことに拍車をかけていますが、なんといっても、この映画のだいご味は、L・レミックをさんざん怖がらせる悪党の怖さです。呼吸系を患った二重人格で、顔だちも個性が強いから、相当のインパクトです。化粧室に忍び込む場面がありますが、一番ぞっとします。主演のG・フォードは、正統派の正義漢ですが、残念ながら、この悪党のインパクトに喰われてしまっています。
悪党役はR・マーティンという俳優です。これ以外には”グレート・レース”でしか観ていませんし、調べると”追跡”の後もあまり映画には出ていないようですが、TVではあのコロンボの”二枚のドガの絵”に犯人役で出ています。改めて、悪役が上手いと、全体が面白くなるのに気づきます。
”追跡”では、エンドクレジットで、初めて、悪役を演じたのはR・マーティン、と一枚看板で出ます。オープニングでは出ません。製作陣の粋なはからいを感じとることができて、ちょっと感動します。
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