タクシー(1932)
解説
ケニオン・ニコルソンの手になる舞台劇から「夜の大統領」と同様キュベック・グラスモン、ジョン・ブライトの両人が共同脚色し「マルタの鷹(1931)」「近代エロ双紙」のロイ・デル・ルースがメガフォンをとった映画で、「民衆の敵」「夜の大統領」のジェームズ・キャグニー、「繁昌娘」「キスメット(1930)」のロレッタ・ヤング、「西部のラスカ」のドロシー・バージェス、ジョージ・E・ストーン、レイ・クック、マット・マクヒュー等が出演、カメラは「緑の女神」「千万長者」のジェームズ・ヴァン・ツリースが担任している。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Taxi
ストーリー
合同タクシー会社というのが出来て以来、今まで平和であったタクシー界には暗澹たる雰囲気が漂うようになった。独立のタクシー運転手は非常な圧迫を蒙るのである。ある辻に6年間も駐車していたライリー老人は脅迫に応じなかったので無法にも自動車を破壊されてしまう。老人は怒りにまかせて相手を射殺するので懲役にやられる。彼の娘スーはある料理店の女給であったが、彼女の恋人マット・ノーランは向こう見ずの熱血児で、かねてから合同タクシーの無法に憤慨していたので大喧嘩を始めようとする。彼が扇動演説をしているところにスーが父親の死を伝えて来るので一同は怖気がつき軟化してしまう。マットは向っ腹を立ててスーと絶交してしまう。暫くして二人は仲直りをするがマットの短気はなかなか直らず、到るところで喧嘩をおっぱじめてスーを困惑させる。結局、喧嘩をしないという条件でスーは結婚することを承諾し二人は結婚許可証を貰いに役所へ行くが、彼はそこですら役人を相手に喧嘩をしてしまう。結婚の宴会でマットは人相のよからぬ男と会う。彼の友達から、その男がマック・ジェフードといって合同タクシー側の用心棒でスーの父ライリーの自動車を破壊した張本人だと聞かされマットはかっとなるがスーとの約束の手前、その晩だけは我慢しようとする。所がバックは酒の酔いにまかせてマットを襲い、間に入った彼の弟ダンを殺して逃亡する。その後マットは復讐のために万事を忘れてバックの動静をさぐっていたがスーはマットがバックを殺そうとしていることを知り、彼の逃走に力を貸すことにする。マットはある日、ついにバックの隠れ家を突き止め阻止するスーを突きのけて急行するが、同じく逮捕に向かった警官に妨げられているうちにバックは逃走しようとして窓から墜落して死んでしまう。マットはスーが邪魔立てをしたのでひどく腹を立てる。スーは自分の真情を理解してくれないので、これも腹を立てる。二人は離婚する決心をして荷物まで運び出そうとするのであるが、何となくめでたく仲直りをしてしまう。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロイ・デル・ルース
- 脚色
- キュヴェック・グラスモン
- ジョン・ブライト
- 原作戯曲
- ケニヨン・ニコルソン
- 撮影
- ジェームズ・ヴァン・ツリース