ソレルとその子(1927)

解説

英国作家ウォーウィック・ディーピング氏の有名な小説の映画化で、エリザベス・ミーハン女史の脚色により、「ボー・ジェスト(1927)」「電話姫」「神我に二十銭を賜う」等と同じくハーバート・ブレノン氏が監督している。主役は「沈黙(1926)」主演のH・B・ワーナー氏で、それを助けて「ボー・ジェスト(1927)」のアリス・ジョイス嬢、「本疊打王」のアンナ・Q・ニルソン嬢、「ボー・ブラムメル」のカーメル・マイアース嬢、「不良老年」のノーマン・トレヴァー氏、ニルス、アスター氏、メアリー・ノーラン嬢等が出演する外、ルイス・ウォルハイム氏、子役のミッキー・マクベイン君なども重要な役を務めている。

1927年製作/アメリカ
原題または英題:Sorrell and Son

ストーリー

スティーブン・ソレルは欧洲大戦の際フランス戦線に於て殊動を立てた。戦終って彼が懐しい故郷英国の我が家に立ち帰った時は、彼の家庭が崩れて行く刹那であった。彼が家に入ると入れ違いに妻のドーラは長い淋しい生活に打ち負けてか新しい生活を求めて家を出て行くのであった。独り子のキットを抱えてスティーブンは怱ち生活の荒波に直面した。世間は出戻り兵士には親切ではなかった。彼の生活の道は至る所で阻まれていた。生活の落伍者スティーブンは遂に田舎町の宿屋に雑用を務める身となり下った。が、かかる恥辱、それも一重に我がキットの身のため、そう思ってスティーブンはその辛さにも堪えた。が続いて誘惑の手が迫った。宿屋の美しい女将フローはそれとなく彼に云い寄ったが、彼は固くそれをしりぞけたやがて彼の生活に稍々光りが射し初めて来たというのは、あるホテルの経営者トマス・ローランドがゆくりなくこの宿に泊りに来て彼と知り合いになり、彼を巳がホテルの第二ポーターへと招いたからである。がその新らしいホテルでの彼の生活も第一ポーターの意地悪い眼が光っていたために快いものではなかった。又彼の唯一のその存在することによって生甲斐を感じていた息子キットは父親がポーターであるという単なる事実から退校せしめられた。しかしトマスの温い情けと同じホテルに勤めているファニーの優しい心使いとから彼には心の和らぐ日もあった。そして次第にスティーブンにも安らかな日がめぐって来る様になり、日は経ち、年は流れ、一子キットは父の恵みの下に、立派な外科医と生い育った。キットには互に心からの恋人がある。トマスの愛嬢、彼とは幼な馴染みのモリーがそれである。スティーブンはホテルの支配人に任命せられた。今更キットの生みの母ドーラが彼の手から息子を取り戻しに来ても、今となっては彼とキットとの間の心の繋がりは断ち難かった。キットは外科医としての名医を遂にかち得た。そしてモリーと結婚した。が、こうした幸福は、今まで張りつめていたスティーンヴンの疲れ切った身と心とに却って打撃を与えた。そしてスティーブンは彼の生涯の友とも望みとも思っていた命にも名誉にも代へ難き愛子キットの看護の下に命をひき取って行った。

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