想天舞曲

解説

舞台俳優として人気盛んなリー・トレイシー氏が主演する全発声映画で、最近物故した新進監督ケネス・ホークス氏が第二回作品として監督したもの。原作はウォーレス・スミス氏作の物語で、「ムービートーン・フォーリス」の台詞を書いたウィリアム・K・ウェルズ氏がシドニー・ランフィールド氏と共同して台本及び台詞を執筆した。撮影は「青空」「四人の悪魔」のL・ウィリアム・オコンネル氏。トレイシー氏を助けて同じく映画初御目見えのメイ・クラーク嬢、ダフネ・ポラード嬢、「哀調の小道」「好いて好かれて」のフゼフィン・ダン嬢、「ムービートーン・フォーリス」「デキシー歌舞曲」のステピン・フェチット氏等が出演している。

1929年製作/87分/アメリカ
原題または英題:Big Time

ストーリー

場末の寄席に出で小唄とダンスを演っているエディー・バーンズは何日かは第一流の劇場に出演しようという燃えるような野心を抱いていた。彼の踊り相手のリリー・クラークはエディーを深く愛していてお互いに励まし合って新しいステップを練習していた。エディーは自惚れが強くて職に長続きしなかった。リリーはコーラス・ガールとして働いていたが、ある晩のこと芸人の一人が足を怪我して番組に穴があいたのでリリーはマネージャーに願って穴ふさぎにエディと二人で出演することになる。これが大受けで二人はたちまち立派な契約を結ぶことが出来た。喜んで両人は劇場を出ると教会に駆けつけて結婚した。リリーと一緒にコーラスにいたグローリアが彼等を羨ましく思うほど二人は段々人気が出て遂に小芝居での座頭役者にまでなった。その頃にはリリーはエディーの子を宿し医者から出演を禁じられた。大劇場出演という年来の宿望が叶うようになっている時とてエディーは十週間も休演するのを堪え難く思いグローリアをリリーに仕立てて出演することとなった。月満ちてリリーは男児を産んだ。産後の肥立ちも順調なのでリリーは再び舞台に立つ心組で劇場を訪れる。大劇場から出演の交渉を受けたり許りのエディーはグローリアの甘言に乗せられリリーは家庭で育児に精出すべきだと言った。夫とグローリアとの関係を思い過ごしてしまったリリーはエディーにおさらばと言って駆出してしまった。グローリアに言いくるめられ、おだてられてついうかうかとリリーに冷たい仕打ちをしてしまったエディーは、彼女に出て行かれて見ると世界が空虚になったような気がした。それで大劇場に出演するようになっても少しも気乗りがしなかった。人気は次第に落ちて来た。エディーは小芝居に逆戻りした。そしてしまいにはグローリアにも逃げられて終ったので食詰めて、安っぽい食堂の給仕になり下がって働いた。そこで昔馴染みの黒人エリーからリリーがハリウッドで映画女優になっていることを聞き貨物車に只乗りしてどうにかこうにかハリウッドに辿りついた。リリーはマリリン・バークと名乗るスターになっていた。エディーはそれを知らず彼女の映画に臨時雇いとして出演した。そこで彼は立派になっているリリーと息子を見ることが出来た。絶食していたために卒倒したエディーはリリーに抱かれて始めて蘇生した思いをしたのである。

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