セレナーデ(1927)

解説

「猫の寝巻」「婦人に御給仕」と同じくエルネスト・ヴァイダ氏が書卸した物語を、氏自ら脚色し、「婦人に御給仕」と同じくハリー・ダバディー・ダラー氏が監督した映画で、主演者は「夜会服」「婦人に御給仕」「不良老年」のアドルフ・マンジュウ氏。相手女優は「婦人に御給仕」で始めてマンジュウ氏と共演したキャスリン・カーヴァー嬢が勤め、ローレンス・グラント氏、リナ・バスケット嬢及びマーサ・フランクリン嬢が助演している。

1927年製作/アメリカ
原題または英題:Serenade

ストーリー

維納の音楽学校を卒業したフランツ・ザンドールは燃ゆるような芸術的野心に駆られて作曲に從事していたが、楽壇では彼をまだ認めてくれなかった。のみならずフランツの無二の親友であり指導者たるヨゼフ・ブルックナー老人さえ彼が創作した曲を賞することはなかった。そしてフランツは無名の芸術家に共通の貧乏に悩まされ下宿を逐われた。やむなく新しい下宿を捜しに出た彼は偶然美しい娘のいる家を見つけて所に居を移した。美しい娘の名はグレチヘンといった。フランツは彼女のために心を篭めて一篇の歌曲をものし、名もそのままにグレチヘンと題した。フランツは彼女に恋したのだった。そして結婚し度いと思ってブルックナー老人と相談したが、老人は結婚は芸術家の生涯を台無しにするといって反対した。しかしグレチヘンはフランツの仕事には一切干与しないことを誓って2人は遂に結婚した。愛と結婚の記念たる「グレチヘン」の曲は熱狂的歓迎を受け、次いでオペレットに仕組んで上演され、作者ザンドールは指揮者として自らステージに立ち一躍流行児となった。かくて1年に渉って演続されたが貞淑なグレチヘンは仕事を妨げまいとの心から1度も劇場を訪れなかったたが、ある夜彼女は秘かに劇場に赴き、良人と主演女優マリエッタとの間にある秘密が潜むことを発見した。その夜グレチヘンは家出した。フランツは非行を悔いて妻の行衛を探しているうち、ある夜劇場の特別席に若い紳士と並んでいるグレチヘンの姿を見つけた。その夜のグレチヘンの麗姿は如何なる女優も舞姫も到底及ばぬほど素晴らしいものだった。フランツはブルックナー老人からグレチヘンの隱れ家を聞いて赴いた。そこで彼は豫想に反して妻は情人などを持ってはいないことを知り跪いて許しを乞うた。その時窓下の庭園から彼らの良き友ブルックナー老人が管絃楽隊を率いて来て、サンドール夫妻のためにセレナーデを奏する楽の音が響いてきた。

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