世界とその男
解説
「鉄壁の男」「歓呼の涯」主演のジョージ・バンクロフトが「極楽特急」「明暗二人女」のミリアム・ホプキンスを相手に主演する映画で、「巨人」「赤新聞」「鉄壁の男」等のバンクロフト映画をものしたジョン・クロムウェルが監督に当たっている。フィリップ・ゼスカとエルンスト・スピッツ合作の舞台劇を映画化したもので脚色には「市街」「夜の看護婦」のオリヴァー・H・P・ギャレットが任じた。キャメラは「明暗二人女」「悪魔が跳び出す」のカール・ストラッスが受け持っている。助演者は「令女学」「拳闘のキャグネー」のアラン・モーブレイ、「シマロン(1931)」「特集社会面」のジョージ・E・ストーン、エメット・コリガン、ミッチェル・ルイス、オスカー・アッフェル、ハリー・コーディング等である。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:The World and the Flesh
ストーリー
ロシア、1917年、動乱のロシア。ーそこは、無数の死に瀕した人たち、飢えた人たち、国を追われる人たちばかり。国は、飢えと、血潮と、それから野獣性で満たされていたー。黒海に面したセオドシアの街ーここにも国を追われて祖国への最後の名残りを惜しむ人たちの中に、マリアという金髪の女がいた。元は貧しい農家の娘、今はダンサーで青年士官ドミトリの思われ者、祖国の動乱や運命など顧みる暇などはないという女になりきっていた。この折にその粗暴な姿を現したカイレンコ船長は、その場に臨んでのマリアの異常な冷静さに心ひかれ彼女に近付こうした時、街は一団のコサック兵に依って占領され、彼も四人の部下と共にコサックの船に捕らえられ石炭運びとして働かされる中、火夫たちは彼の火のような暴挙に征服され船は彼の命ずるままにコースをセオドシアに取り、船は再びカイレンコの支配におかれる。彼は若し彼に従えば自由にしてやるとマリアを口説くが彼女は侮蔑的に拒絶する。この暴君の支配から逃れるためにコサックから哀願されたマリアは心ならずも彼と一夜を共にし、その間に船は再びセオドシアを後にコサックの安住の地を目指すが、使命のために彼に近付いたマリアは却ってその野性に魅せられて、遂に彼女自身がコサックのスパイであること、船は今は再びコサックの支配下にあることを告白する。裁判の日ーマリアは裏切りの罪に依って死刑を宣告されている。そこへカイレンコが死刑執行人と偽って現れ、部下に命じて彼女を放免させた上で、裏切り者は自分であると自首して出る。(パラマント支社輸入)
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・クロムウェル
- 脚色
- オリバー・H・P・ギャレット
- 原作戯曲
- フィリップ・ゼスカ
- エルンスト・スピッツ
- 撮影
- カール・ストラス