スター・トレック(1979)のレビュー・感想・評価
全14件を表示
劇場公開70mm版を含め、事実上4つのバージョンが存在
実は『TMP』と称されることになるこの映画、当初は第一シリーズ『宇宙大作戦』の「フェーズ2」と呼ばれる続編TVシリーズとしての企画から派生した経緯がある作品である。
SWの大ヒットを受けて、制作のパラマウントが「大作SF映画はいける」という判断となって、既に撮影も開始されていたTV版を途中キャンセルしてまで劇場版へと企画の変更を決定した。
当初TVの新シリーズだったら出演を辞退する、ということを宣言していて未参加だったニモイ氏の復帰も決定し、本格的な超大作映画版続編企画へと昇格を遂げる事となった。
小学生時に元祖『宇宙大作戦』を観ていた世代だった自分にとっては、この知らせ程嬉しく、また誇らしく思った事は無かった。
それだけ、その当時までは我が国での存在感、知名度は低い物だったので。
『ヤマト』は知ってても『宇宙大作戦』なんか知らんと。
TV放送当時も、途中で一旦終了してしまい、その後のシーズンから局が変わり、タイトルも『宇宙パトロール』として放送が行われていた期間もあるくらい。
新TVシリーズ企画の名残りとして、TV版の新登場人物として設定されていた、アイーリアとデッカー艦長などのキャラクターが、今映画版に登場している。
SF『アンドロメダ…』の監督でもあった、巨匠ロバート・ワイズ監督の手により、イメージ的には小規模だった元祖シリーズに比べて、壮大な宇宙空間を舞台にした大画面にふさわしいスケールの超大作作品に仕上がる事となった。
しかしそのために、旧来のテイストとの違和感を指摘する声もあった事から、次作からは元祖シリーズの延長線を意識した(分かりやすい)作風へと路線変更がなされる事にもなった。
この制作費100億円とも言われている超大作SF作品の、最も鮮明な劇場公開70mm版マスターだったものは、初公開時の首都圏拡大ロードショー時の大劇場での上映版のみで、このフィルムは132分のバージョン(LDなどの時代までは)のみである。
以降の地方公開では35mm版となり、その後に流通しているマスターもこれに準じていた。
その訳は、アメリカでのTV放映時に「劇場未公開シーンを追加」するというのが当時流行っており、この作品も同様に12分が35mmの別素材で加えられたことで144分バージョンが通常の流通版となり、以降ロードショー公開版の70mm版マスターは使用できなくなった(TV放送用に35mm版に編集を行った)。
その後2001年版としてロバート・ワイズ監督による、当時の技術と時間的成約から実現できなかったシーンを新作して編集を加えたディレクターズ・エディション 特別完全版の制作発表により、136分版が完成(DVD化)。
2022年の4K版バージョンでは、さらなる追加修正が加えられ、137分版となったが、ロバート・ワイズ監督は既に故人のため、監督の意向が加えられている訳では無い。
初公開時の70mm版鑑賞以降は、家庭用の鑑賞機材によるものなので、そちらのバージョンを劇場鑑賞してみたいものだと思う。
それがない限りは、やっぱり最初のバージョンを観たときの感動と思い入れは超えることは出来ないだろう。
確か、ロバート・ワイズ監督のディレクターズ・エディション 特別完全版も、我が国では劇場公開が果たされなかったように記憶しているが.....
参考までに、『TOS』と称されるようになった”オリジナル・シリーズ”は当時、全3シーズンにて打ち切りに。
その後”トレッキーズ”と呼ばれるようになったコアなファン層(アメリカ)の根強い署名活動などにより、新作シリーズ(継続)を訴えたものの、当時はそこまでには至らず、半ば”エンドレス再放送”的な対応がなされたという経緯を経て、『TAS』と呼ばれる、世界観を延長した正規の新作アニメ版続編シリーズ、2シーズン(1973〜1974)の制作へと結びついた。
その情報は聞こえてきていたものの、我が国では放送される気配がなく、可成り経過した'77年になって、「東京12チャンネル」というのでやっと放送がなされたため、関心も薄れて見逃してしまった方も多かったろうと。
しかし、クオリティ的には低年齢層子供向けには設定されておらず、ちゃんと実写版の延長の世界観の”公認”の続編として意識されており、その証拠というかアメリカ版の声優陣は基本的に『TOS』のメンバー自身がアテている。
ある意味、『TOS』シーズン4&5と言える位置づけになっている。(現在は完全に公式)
放送時間が『TOS』の『宇宙パトロール』版の時みたいに、”あき時間”みたいな日曜とか平日火曜とかの早朝放送が行なわれてたので、当然見逃した回も多く、後年にLD・BOX化された際に購入することとなった。
日本版声優陣は一新されており、『TOS』とは全く異なっているものの、佐々木功氏を始めとしたベテラン・メンバー構成になっている。
因みに、本作『TMP』の音楽を ジェリー・ゴールドスミス氏が担当することとなり、当時既にそのファンだった事から公開時直ちにサウンドトラックLPを購入しているが、この『TMP』のテーマ曲は、その後から企画されて始動した新シリーズ『The Next Generation』=TNGにそのまま流用されることとなった。
これについては、もともと『TOS』について当時ジェリー・ゴールドスミス氏にオファーがされたものの、スケジュールの都合等で実現に至らず、氏の推薦によりアレクサンダー・カレッジ氏が担当することとなって、有名なテーマ曲が作曲されるに至ったという経緯があり、そこで新TVシリーズのテーマ曲にジェリー・ゴールドスミス氏作曲の曲を使うことで宿願を果たした、的な流れと解釈できる。
SFの本流か? 大宇宙のスピード感
TVシリーズが主役ですよ
これに限らずTVシリーズの映画化はTVが本家であって、映画なんてTV観てる人へのご褒美ですから、TV知らない人が映画だけで偉そうなこと言うのは笑止千万です。
故にTV知らない私は、先ずはこの有名なTV番組に敬意を表して4点つけます。
僭越ながら映画だけの感想ですが、膨大なTV放映の蓄積があるので、同時期のSWやCLみたような特撮重視というよりも人間ドラマとSF設定に重点が置かれているようです。映画がTVの延長上にあるのか、独立したものかはわかりませんが、「壮大な世界観」が嫌いな私でも、明瞭なキャラクター設定、ワイズ君の真面目で抑え気味の場面展開、地味ながら真摯なストーリー、派手さはなくとも適度にカラフルで奥行きを感じる画面など、非常に好ましいでき上がりと感じました。
こんな先進的な話だったんだ!
古典的な作品だしね、と思って見ていたら、ラストでストーリーの全貌が明らかになって、おお、進んでる!そういう未来もあるかも!と思った。
ウェア以外はセットも今日でも全く見劣りしないし、キャラ造形も凄かった。
本来のスタートレックらしさ。
当時は第一次SF映画ブームの中、往年のTV番組からの映画化という事で大変話題になり大ヒットしたそうです。今の目で見ると地味で悠長にも見えますが、ストーリー全般としては威風堂々とした本来的な意味でのSF映画だと言えます。これぞSFネタといったようなネタですね。
次回作以降は、登場人物達のキャラクター性や、特撮アクションを重視する作風に変わってしまいますが、そういった意味でも本第1作目はあくまでSF性を重視した作風で、貴重なものです。
スタートレックは映画として本作を含め13作品ありますが、ここまでSF性を重視したものはこれが唯一で、どちらかというとTVシリーズ版で見られそうなSFサスペンス性が最重要視されています。
おそらく同時期のSWやスーパーマンや未知との遭遇などと色分けするために、スタートレックらしさとしてこのようなストーリーが採用されたんだろうと思います。
宇宙の果てからやって来た謎の生命体の正体…ユーミンの『ボイジャー』...
初スタートレック
一作目だけど
不思議で魅了される
映画界進出はちょっと奥手になったエンタープライズ号
「スター・ウォーズ」と並ぶ人気を誇るSFシリーズの劇場版第一作目。
「SW」「未知との遭遇」「スーパーマン」「エイリアン」などSFブーム真っ只中に公開され、当時のSF人気が窺い知れる。
「SW」がゴジラなら、「ST」はガメラ。
「SW」は何度も見たほど好きだけど、「ST」は基のTVシリーズすら見た事無く。
映画シリーズだけは見、ピカード艦長の新シリーズから入り、カーク艦長の旧シリーズを見て、J・Jのリブート版へ。
謎の雲状巨大物体が接近。新型エンタープライズ号が接近を試みる…。
宇宙の神秘との“未知との遭遇”を描いたSFドラマの趣向。
「2001年宇宙の旅」のような知的SFの雰囲気も彷彿させ、巨額の予算を投じたSFXやセットは凝っている。
が、エンタメ性に欠けるのは否めない。
アクションの見せ場はほとんど無く、展開は静かに進み、ビジュアル重視。
テンポも迫力もエンタメ性も満点だったJ・J版と比べるとどうしても退屈に感じてしまう。
そもそもエンタープライズ号の任務は戦いじゃなく、外宇宙の探索。
それで考えるとこの作風はアリなのだが…
記念すべき一作目としてはちょっと物足りない。
全14件を表示