地獄特急(1932)

解説

「悪魔の富籤」「貞操切符」のエリッサ・ランディが主演する映画で、「地下の雷鳴」「春ひらく(1931)」のポール・ルーカスが相手役を勤める。原作は「上海特急」のハリー・ハーヴェイが書き、「女性に捧ぐ」「狼火」と同じくブラッドリー・キングが脚色、フランク・ロイドが監督に当たった。キャメラは「十三号室の女」「貞操切符」のジョン・サイツの担任である。助演者は「悪魔の富籤」「誰だ犯人は?」「上海特急」のワーナー・オーランド、「大西洋横断」のアール・フォックス、「キック・イン」のドナルド・クリスプ等である。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:A Passport to Hell

ストーリー

マイラ・カースンは風紀を乱す不道徳な女として、英領アフリカを追放され、独領西アフリカへ流れ着いた。そのころ欧州大戦が勃発したので彼女は敵国の間諜の嫌疑で投獄されることになる。ところがドイツ駐屯軍司令官シドウ男爵の息子エリッヒは船中でマイラを見染めて、結婚を申し込んだ。マイラは彼を愛してはいなかったが、彼の妻となればドイツ臣民となって投獄されるのを免れるので承諾する。息子が英国女と結婚したと聞いてシドウ男爵は憤った。そして人々に後ろ指を指されたくないので、河上の蕃地に息子夫妻を出張させた。単調な蕃地の生活、夫の視察旅行中マイラは寂蔘に耐えかねた。そこへエリッヒの親友で鉄道隊の中尉クルト・クルトフが測量旅行を終えて訪れる。さみしい蕃地に二人は親しみを感じ、やがて恋を感じ会う。エリッヒは帰ってきて、二人の間柄をに勘づき嫉妬する。スナイダー軍曹はドイツ軍にある英国間諜で、クルトフが作った地図を買い取るべく、英国人たるマイラに相談を持ちかける。彼女は拒絶したが、間諜の嫌疑を受けて追放を命ぜられる。船中で彼女に夫のエリッヒから自分が父親の手元から機密地図を盗んで買ったという告白状と報酬金とが送ってくる。彼女が間諜として捕縛されたとき、彼女は彼女が間諜ではないという唯一の証拠足るエリッヒの手紙を夫の名誉のために焼き捨てる。ところが彼女が男爵の面前に引き立てられると、男爵の態度は以前と変わっている。彼の息子の反逆を知ったのである。そして息子はシドウ家の名誉のために返してくれと願うのだった。そしてマイラがその手紙を焼棄したことを告げると男爵は改めて彼女に感謝した。夫が死して自由となった、マイラがクルトフ中尉と幸福を見出したことはいうまでもなかった。

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