Gメン(1935)

解説

ギャング映画再興の先駆けをなしたものでグレゴリー・ロジャースの原作を「暁の偵察」「暗黒街の顔役(1932)」のシートン・I・ミラーが脚色し、「夫の日記」「愛の岐路」のウィリアム・ケイリーが監督に当たり、「泥酔夢」「お姫様大行進」のソル・ポリートが撮影したもの。主役は「運ちゃん武勇伝」「太平洋攻防戦」のジェームズ・キャグニーで、「生活と恋愛」「雲とつばさ」のアン・ヴォーザーク、「生活と恋愛」「太平洋攻防戦」のマーガレット・リンゼイ、「コングの復讐」のロバート・アームストロング、「僕はカウボーイ」のバートン・マクレーン、「スター悩殺」のラッセル・ホプトン、「舗道」のウィリアム・ハリガン、「武者一代」のレジス・トゥーミー等が助演している。

1935年製作/アメリカ
原題または英題:G Men

ストーリー

ブリック・デーヴィスは暗黒街の顔役(1932)マッケイにさがれの如く愛されて育った男である。マッケイは無教養で環境が悪かったために悪の世界に入った自分の轍を踏ませまいと、ブリックに学資を貢ぎ、大学を卒業させた。ブリックは希望どおりに弁護士を開業したが成績は思わしくなかった。彼と同窓の親友エディーは中央政府司法省直属の警官(Gマン) となっていて、フリックにもGメンになるように勧めたが、凶悪なギャングに殺害されてしまった。これが動機でブリックはGメンになる決心をし、マッケイが経営するキャバレーへ訣別に赴いた。マッケイはこの事を寧ろ喜んでくれたが、淋しがったのはブリックを密かに恋しているダンサーのジーンだった。ワシントンに着いたブリックは部長のジェフ・マッコードとソリが合わず事々にいがみ合った。しかもジェフの妹ケイにブリックは恋を感じた。しかしケイは生意気なブリックに好意を寄せようもなかった。がブリックは出柄を立てた。彼の親友エディーを殺した下手人のギャング、レゲットをその隠れ家で生け捕りにしたのである。マッケイが足を洗って田舎の山荘に引っ込み、レゲットが年貢を納めたので、残る大物のブラッド・コリンズを検挙することとなった。ところが一味の行方は杳として絶えた。そのときコリンスの妻となっているジーンを尋問してブリックは一味が、マッケイの山荘を占領して潜んでいる事が判った。Gメンの一隊は山荘を包囲して機関銃戦を交えた。この戦いでマッケイはGメンの銃弾を浴びて倒れたが、コリンズは逃亡してしまう。その後Gメンはジーンのアパートを監視してコリンズを発見したが又もや悪運強い凶徒はブリックを負傷させ、行きがけの駄賃にジェフの妹ケイを誘拐し、高飛びを妨げるとケイを殺すと宣言した。ところがジーンはコリンズの隠れ家を訪れてケイが監禁されているのを知り、ブリックに電話で急報した。そして、裏切り者めと怒ったコリンズの銃弾を浴びた。傷をものともせずブリックは駆けつけて虫の息のジーンにコリンズの隠れ家の所在を聞き、ケイを救いに赴いた。縛されたケイは必死の努力でコリンズに体当たりを食らわせ拳銃を落とさせた。コリンズは自動車で逃走せんとして、駆けつけたGメンの十字火を浴びて最後をとげた。

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映画レビュー

5.0ジェームズ・キャグニーの映画では外せない作品と思う

2021年11月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1935年米国公開
まず最初にワーナーブラザーズのロゴマークが映る
FBI本部ビルが次に映り、捜査員の研修室のシーンとなる
教官が十数名の研修生にこんな事を言う
「諸君、1949年はFBI 設立25周年にあたる」と

ん?1935年の映画なのに?14年も未来?

そして教官は始めてくれと映写機の担当者に合図を送る
するとまたワーナーブラザーズのロゴマークが登場して、タイトルが出るのだ
つまり本作は、14年後の未来のFBI の新人捜査官に、昔のFBIはこうで、真の捜査官の精神とは何かを学ぶ為に観せる研修用の映画というしつらえなのだ
面白い趣向の始まり方だ

本作を観るなら、イーストウッド監督の「エドガー」をまず観てからにされることをお勧めする
もちろん本作だけでも面白いし、何も問題はない
しかし、その作品を観ていれば、なぜそのような凝った趣向の始まり方をする映画であるのか
その意味が良く理解できるだろう

FBI の創設は、先の教官のセリフの通り1924年のこと
本作はその11年目に製作された作品
FBI を創設したエドガー・フーバー長官が、FBI 捜査官をヒーローにした宣伝映画として映画会社に作らせた作品だったのだ

そして冒頭の凝った作り方は未来永劫、FBIは続く組織であり、組織規模もより大きくなるものであるとエドガー・フーバー長官が主張し宣言する意図を持ったものだったわけだ

ギャング映画ですでにスターになっていたジェームズ・キャグニーを、逆に捜査官側にして主人公としているところがミソ

主人公がギャングの親分に育てられたという設定が説得力を持つ迫力がある
また、彼のコミカルな面も引き出されたシーンも面白い

ジェームズ・キャグニーの映画では外せない作品と思う

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あき240