再生の彼
解説
「愛欲の絆」「真紅の海」に次ぐリチャード・バーセルメス氏主演の映画で氏の最初の発声映画として製作されたものである。コートニー・ライリー・クーパー氏の原作を「真紅の海」のブラッドリー・キング女史が脚色し、「情炎の美姫」「あこがれ」のフランク・ロイド氏が監督した。助演者は「真紅の海」「煩悩」のベティー・カンプソン嬢を筆頭に、新顔のルイ・ナトー氏・ジョージ・E・ストーン氏、ウィリアム・ホールデン氏等で、「愛欲の絆」「高速度娘蕾の巻」のアーネスト・ホーラー氏が撮影している。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:Weary River
ストーリー
ニューヨークの暗黒街に覇を唱えるジェリー・ララビーは酒の密輸入団の団長だったが、彼は伊達姿にふさわしい美しい声の持ち主であり且つピアノ弾奏に長けていた。彼は美しい情婦のアリスと一緒に贅沢なアパートメント住いをして好きな流行唄を口ずさんではアリスを悦ばせていた。ところがかジェリーと対立している一団の首魁スパドーニの密告の結果彼は刑務所につながれる身の上となった。彼はスパドーニに復讐してやろうという一念で出獄の日を待っていたが刑務所長は温情に富んだ人で囚人の境遇に同情して彼らの荒んだ心を和らげるのに妙を得ていて、復讐の鬼のようなジェリーさえ遂に善良な模範囚人となるように感化した。人生は流るる河である、行きなやむ水ほど大河へ出る日が近い、という刑務所長の教えを深く胸に刻んだジェリーは、この感銘を主題として「悩める河」という歌を作曲した。そしてある時刑務所のオーケストラがラジオ放送をした時、彼はこの歌を自ら弾きながら歌った。アリスは久し振りで愛人の声を聞き過ぎ去った楽しい日を偲んで涙ぐんだ。ジェリーは放送界の人気者となり賞賛されたが、特赦の日が来て出獄するとやはり世間は彼を前科者として冷やかに白眼視した。ジェリーは身を置くところがないので昔ながらに彼を歓迎してくれる仲間の許へ赴いた。すると邪魔者が戻ったのを気にするスパドーニはジェリーを殺しに押掛け、一夜大衝突が起った。しかし刑務所長とアリスとの努力でジェリーは無事だった。彼はこの2人の愛に救われ正しい人の道をあゆむ人となったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・ロイド
- 脚色
- ブラッドリー・キング
- 原作
- コートニー・ライリー・クーパー
- 撮影
- アーネスト・ホーラー
- 題字
- ポール・ペレス
受賞歴
第2回 アカデミー賞(1929年)
ノミネート
監督賞 | フランク・ロイド |
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