「夢の中で繰り返される後悔に寝汗」エル・スール La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
夢の中で繰り返される後悔に寝汗
ビクトル・エリセ監督が、デビュー作『ミツバチのささやき』から10年を経て発表した第2作。スペインの北方地方で暮らす家の父親が南(EL SUR)の生まれ故郷を捨てて来た道程を娘の眼を通して描く物語です。
父の過去に何があったのか詳しく語られはしないのですが、過去への悔恨・後悔・哀切が娘の眼を通して描かれ、穏やかな父が過去に縛られている事が明らかになって来ます。
「あぁ」
と、スクリーンと向き合いながら溜息が漏れてしまいました。この歳になると、父の思いが身に染みるんですよねぇ。消しゴムで最早消す事のできない過去が突如甦り、夢の中で繰り返される後悔に寝汗をかいて目覚めるのです。
最新作『瞳をとじて』まで、エリセ監督が沈黙を数十年間続けた訳が分かる気がします(恐らくその想像は外れているでしょうが)。
公開前にカットされた後半90分を是非観たいなぁ。傑作です。
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