拳銃王のレビュー・感想・評価
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撃ち合いが無い西部劇
撃ち合いらしい撃ち合いが無い西部劇。
恐らく、「西部劇で撃ち合いを見せなくても、人間ドラマは見せられるんだ!」と意気込んで作られた映画なのかも知れない。(…真偽不明)
それでも、やっぱり盛り上がりに欠ける西部劇であった。
「1880年代、最も早撃ちのテキサス人=ジミー・リンゴという男がいた」というテロップに続いて映されたジミー・リンゴを演じるのはグレゴリー・ペック。
この俳優の映画はそれなりに観てきて、申し訳ないのだが、グレゴリー・ペックは早撃ちで凄腕ガンマンに見えない(笑)
冒頭にリンゴと諍いをした3人の男を残して、リンゴは町の酒場にやって来た。
そして、リンゴは以前愛し合った女性教師と自分の息子を愛しているようだが、リンゴに絡んでくる若者(バカ者?)、リンゴと銀行強盗していた保安官、そして愛する女性教師の姿などが描かれる。
本当だったら、感動するようなドラマになっていくのだろうが、そうでもない…。
またジミー・リンゴを追いかけてきた3人の男達とのバトルになるかと思えば……。
さまざまな「何かが起こりそう」という雰囲気だけを見せておいて、「オイオイ、その終わり方は無いだろう…」という肩透かしの映画だった。
アウトローの宿命の虚しさが特徴の反ヒロイズム西部劇
ジョン・フォードの名作「駅馬車」と同じくリンゴ・キッドをモデルにした西部劇でも、アクションシーンは少なく、アウトローから更生しようとする主人公ジミー・リンゴの心理状態をメインにした人間ドラマ。実在のリンゴは、1882年に32歳の若さで謎の死を遂げている。34歳のグレゴリー・ペックが口ひげを付けて似せているが、既にスターの貫禄漂い落ち着いていて実年齢より大分上に見える。
物語はカイエンという町にリンゴが朝7時50分に訪れてから、8年前に別れた内縁の妻と息子に再会する10時15分までの短い時間に、主要場面となる酒場、保安官事務所、妻ペギーが教師として勤める教会、そして床屋など限られた場面に色々な人物が絡み登場して、追手から逃げるリンゴの焦りを巧みに演出している。サスペンスの効いた舞台劇の趣向を凝らした異色西部劇。
リンゴが現れて町中が騒動に巻き込まれる中で、大人たちからならず者や殺人犯のレッテルを貼られるが、男の子たちからは早撃ちガンファイターの英雄扱いを受けるところが興味深い。そこに武勇伝に駆られたチンピラのちょっかいが加わる危うさ。まだ法や秩序が整備されない頃の、作り話うわさ話の虚像が独り歩きして真実が曖昧な時代に、かつての銀行強盗仲間の保安官と命運を分けた主人公が無駄にした時間、時既に遅しの戒めが主題として浮かび上がる。
早撃ちガンマンの末路
リンゴ(グレゴリー・ペック)はワイアット・アープよりも有名な早撃ちガンマン。
行く先々で無謀な若者が挑戦してきて、殺さざるを得なくなる。
別れた恋人と息子を訪ねてやって来た町でも・・・。
人生は皮肉なもんだ。
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