「1933年(昭和9年)の作品」キング・コング(1933) 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
1933年(昭和9年)の作品
ゴジラVSコング公開ということで久々に2度目の鑑賞
1933年(昭和9年)の作品
ナチスが政権を獲得しルーズベルトが大統領になり小林多喜二が虐殺され宮澤賢治が病で亡くなり上皇明仁が生まれた年
CGはもちろん無いしスターウォーズの頃のような特撮技術もない時代によくもこのような高いクオリティーの作品を作ったもんだ
凄いぜハリウッド
これなら日本よこれが映画だとドヤ顔になっても良い
キングコング登場は開始40分後くらい
日本なら着ぐるみを選択するだろうがハリウッドは違う
人形アニメーションだ
キングコングも恐竜もその他巨大生物もそれで表現している
キングコングを観る前にシンドバッドを観たからそうでも無かったが初めて観た時は衝撃だった
これが世界の映画をリードしやがてSFXやVFXに繋がっていくのである
ゴジラが水爆実験によって目覚めた古代生物ならばキングコングは冒険映画を撮影するためにジャングルで発見された怪物
物語の設定からもお国柄の違いが出ていて面白い
ヒロインのアン・ダロウはリンゴを盗んだことがきっかけで芸能界入りすることになる
弟が勝手に応募したからとかが一般的だが今の時代にこんなことをカミングアウトしたら炎上間違いなしだろう
それにしてもリンゴを盗むことが世界恐慌の暗喩という解釈はいくらなんでも邪推ではなかろうか
島のリーダーが階段を降りる際にその前をちびっ子がボサーと突っ立っていた所を慌てて大人の女性が連れ戻したがあれは演出なのかアクシデントなのか
演出だとしたら芸が細かい
島の住民は黒人を起用している
日本でモスラだとどう見ても日焼けメイクの日本人ではっきりいってしょぼい
日本では外国人が珍しい時代で特に黒人は貴重な存在だったのかもしれない
ロープで救出する際はハラハラドキドキした
島の暴君もガス爆弾一発で呆気なくダウン
ナイフでちょっと刺されただけでとても痛そうな顔をしている
ゴジラと比較すると全然タフじゃない
ニューヨークで見せ物になる
それが良くない
愚かである
人違いだからって若い女性をポイって捨てるなんて酷すぎる
キン肉マンに出てきた中野さんの嫁公子を投げつけたダイブツラーを思い出した
クライマックスはエンパイア・ステート・ビルのてっぺんによじ登ったキングコングと数機のプロペラ飛行機との対決
ボニーとクライドのように銃殺される
何人もの人間を殺したにも関わらず落ちていくキングコングに悲哀を感じる
エンパイア・ステート・ビルとキングコングの一連のシーンはハリウッド映画の歴史における名場面の一つだ
トラブルの責任者は悪びれることもなく野獣は美貌に負けたと寝ぼけたことを言ってこの映画は幕を閉じる
困ったものである
技術的にはどう見てもジェラシックパークの方が断然上だが映画そのものの面白さとしてはこっちが上